常に外れるレビューから利益を得る

今回の研究では映画業界が「失敗の前兆者」を使って利益を生み出す4つの方法が提言されています。
1つ目は、「失敗の前兆者」が書くレビューを調べれば(不幸にも彼らに好評だった場合)、映画の売り上げが悪くなりそうなのかを早い段階で特定することが可能になります。
レビューの多くは映画館での一斉上映前の前評判として公開されるため、上映日にあわせて映画の宣伝を追加で行わないなどの結論を下す材料になります。
2つ目は主に映画を上映する映画館にとっての利益です。
「失敗の前兆者」の反応を調べて映画の売り上げが見込めないと判断した場合、映画館は上映スクリーンを減らすなど、リスクに備えることができます。
3つ目はさらに有望で、映画作成の開始段階から「失敗の前兆者」の意見を聞きつつ「脚本」「キャスティング」「制作チーム」などを、彼らから最も低評価を受けるもので構築する方法です。
「失敗の前兆者」が酷評する脚本・キャスティング・制作チームによって作られた映画は高確率で、売れる映画になる可能性があります。
そして4つ目はレビュー担当者を雇用する企業に対する利益です。
レビューを書かせる会社としては、映画の売り上げがレビュー評価と一致していると信頼を得ることができます。
そのため「失敗の前兆者」を利用することができれば、雇用する「普通の」レビュワーたちに、売れそうな映画に肯定的なレビュー、売れなさそうな映画に否定的なレビューを書かせることで市場の評価と一致した共感を得やすいレビューを増やすことが可能になります。
ただどの方法でも最重要となるのは「失敗の前兆者」には何も変わらないまま映画レビュワーとして働き続けてもらう必要がある、という点です。
万一、自分が逆張り預言者として使われていることが知られてしまえば「失敗の前兆者」はレビューの書き方を「普通」に変えてしまい、予言効果がなくなってしまうかもしれません。
予言を外す預言者は、本人には不名誉なことですが業界にとってはとても貴重な人材になるのかもしれません。