若い「やせ女性」はいずれも健康問題に注意が必要
研究者らは、Webベースのアンケート調査で有効回答を得られた18~29歳5,905名を対象として、本調査を実施。ここから調査対象を400名に絞り、ダイエット経験があるグループとないグループに分けて比較解析を行いました。
調査では、参加者の身長や体重(BMI)、自分自身の体型に対する認識や体重に対する意識、ダイエットの経験等のデータが集められました。
さらに、摂食態度、インターネットを通じての健康情報の適切な利用能力、美しさに関するメッセージの受け取り方、性格、自己評価について、5つの標準化された質問票を使用して調査が実施されました。
その結果、適切な運動ができない、または健康的な食習慣が保てない理由は、ダイエットの経験の有無によって異なることが明らかとなったのです。
・ダイエット経験のないグループの特徴
ダイエット経験のない「やせ」女性には、少食で運動不足の傾向があります。糖尿病など、将来の健康リスクが懸念されるのは、このグループです。
彼女たちは健康的な行動が良いことを理解しているものの、それを具体的な行動に移せていないというパターンが見受けられます。
以下はこのタイプに分類される人の特徴を箇条書きにしたものです。糖尿病リスクもあるやせ型なので、当てはまる人は注意が必要かもしれません。
- 平均身長158.64cm/体重43.81kg(BMI 17.38kg/m2)
- 自分が「やせている」という認識があり、体重を増やすことに比較的抵抗がない
- 「体重が減りやすい」との回答が多く、潜在的なやせ体質である可能性が考えられる
- 運動習慣を有する割合は、ダイエット経験のあるグループよりも15~20%程度少ない
- 食事量を増やすこと、比較的抵抗がない。ストレス時は食欲が減少する割合が多い
- 性格的には、新しい経験や習慣を好む傾向があり、健康行動に対する肯定的な認識はこの性質が反映されていると分析されている
・ダイエット経験のあるグループの特徴
ダイエット経験のある女性は、運動や食事の管理といった「やせ行動」を積極的に取る傾向があります。
このグループの女性たちは、将来的な健康問題よりも、真面目で厳格な性格が引き起こす摂食障害のリスクが高くなっています。
以下はこのタイプに分類される人の特徴です。
- 平均身長158.81cm/体重44.09kg(BMI 17.46 kg/m2)
- 「自分を肥満だと感じる」「太りやすい体質」という回答の割合が多く、体重を増やすことに抵抗を感じる割合も多い
- 肥満だと感じる体重は51.83kg(ダイエット経験のないグループの54.31kgより約2.5kg少なく、体重が低くても自分を肥満と考えやすい)
- 運動習慣を有する割合が多い。理由の約71%は「美容や肥満解消のため」であった
- 食事量を増加させることへの抵抗が大きいが、ストレス時は食事量が増える傾向がみられた
- 性格的には、勤勉さが強く見受けられる。メディアからの美容に関する情報の受け取り方や、インターネットでの健康情報の検索能力も高い
また、両グループを比較すると、生まれた時の体重がダイエット経験のあるグループ(3053.74g)よりもダイエット経験のないグループ(2894.66g)の方が軽いこともわかりました。
出生時の体重が、大人になったときダイエットを意識するかどうかに関連しているというのは興味深い発見です。
若い「やせ女性」でも、その背景は一様ではありません。研究チームは、それぞれに適した健康教育の必要性を強調しています。
ダイエット経験のない「やせ」女性には、「少食で運動不足」という状態を改善するよう促す必要があります。
一方、ダイエット経験のある「やせ」女性には、「やせ行動」が行き過ぎないよう、たとえば誤ったボディイメージを持たないように支援することが重要です。
健康問題については、肥満にばかり目を向けがちですが、やせている人にも健康リスクが潜んでいる場合があります。
今回紹介したタイプに自分は当てはまると感じた人は、気持ちや生活に少し改善の意識を向けてみるといいかもしれません。