火星軌道から見た地球(白い光源)と月(右側の淡い点)
火星軌道から見た地球(白い光源)と月(右側の淡い点) / Credit: ESA – Earth and Moon seen by Mars Express(2023)
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「自分の悩みがちっぽけに思える」火星軌道から撮影した”地球と月”の姿

2025.05.10 18:00:00 Saturday

中央にポツンと浮かぶ白い光源、それを横切る薄ぼんやりとした淡い点。

一見すると、大した光景には見えないでしょう。

しかし、ここに写されているのは地球から3億キロも離れた火星から見た地球と月の姿なのです。

この画像は、2023年6月2日に火星軌道上のマーズ・エクスプレス20周年を記念して撮影されたものです。

撮影は半月かけて行われており、一連の画像をつなぎ合わせたアニメーションでは、月の公転軌道が視覚的に確認できます。

このちっぽけな淡い点の中に私たちがいると思うと、さまざまな悩みがちっぽけに思えてくるかもしれません。

Earth and Moon seen by Mars Express https://www.esa.int/ESA_Multimedia/Images/2023/07/Earth_and_Moon_seen_by_Mars_Express A Pale Blue Dot https://www.planetary.org/worlds/pale-blue-dot

火星軌道から地球と月はどう見える?

画像は、ESA火星探査機マーズ・エクスプレス(Mars Express)」により撮影されました。

マーズ・エクスプレスは2003年6月2日に打ち上げられ、同年12月に火星の軌道上に入り、そこから火星の大気や地下構造の調査を続けています。

今回の撮影はマーズ・エクスプレスが地球を出発してから20周年を記念したもので、地球から約3億キロ離れた場所から行われました。

画像は2023年5月15日、21日、27日、6月2日に撮影され、同機に搭載されている高解像度カメラを使用しています。

このカメラは普段、火星の2つの衛星であるフォボスとダイモスを撮影するために用いられているものです。

そして一連の画像をつなぎ合わせて、地球とその周りを公転する月の様子をアニメーションに仕上げました。

中央の白い光源が「地球」で、周囲を公転する淡い点が「月」
中央の白い光源が「地球」で、周囲を公転する淡い点が「月」 / Credit: ESA – Earth and Moon seen by Mars Express(2023)

この画像中央輝く地球で、その周囲移動する小さなです。撮影期間中、地球周囲半周する様子おり、公転運動視覚確認できます。

地球軌道の外側から、その様子を実際に眺めるというのは非常に珍しいでしょう。

本プロジェクトに参加した仏ソルボンヌ大学(Sorbonne University)の天文学者ホルヘ・エルナンデス・ベルナル(Jorge Hernández Bernal)氏は「このスナップショットに写る地球は、100メートル離れた距離から見たアリぐらいの大きさしかありませんが、私たちは皆その中にいるのです」と話しています。

実はマーズ・エクスプレスは出発直後の2003年7月3日にも、地球から約800万キロの位置から振り返って「地球と月」の姿を撮影していました。

それがこちらです。

「さよなら地球」と題された一枚。右側に月の姿も見える
「さよなら地球」と題された一枚。右側に月の姿も見える / Credit: ESA – Farewell Earth – 20 years ago(2023)

これを見ると、マーズ・エクスプレスがいかに遠くまでたどり着いたのかが分かるでしょう。

そしてESAの研究チームは今回の撮影について「ある一枚の写真を想起させる」と話します。

それが1990年に撮影された「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)」と題されたものです。

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