火星軌道から地球と太陽はどう見える?
画像は、ESAの火星探査機「マーズ・エクスプレス(Mars Express)」により撮影されました。
マーズ・エクスプレスは2003年6月2日に打ち上げられ、同年12月に火星の軌道上に入り、そこから火星の大気や地下構造の調査を続けています。
今回の撮影はマーズ・エクスプレスが地球を出発してから20周年を記念したもので、地球から約3億キロ離れた場所から行われました。
画像は2023年5月15日、21日、27日、6月2日に撮影され、同機に搭載されている高解像度カメラを使用しています。
このカメラは普段、火星の2つの衛星であるフォボスとダイモスを撮影するために用いられているものです。
そして一連の画像をつなぎ合わせて、地球が太陽の周りを公転するアニメーションに仕上げました。
パッと見だと、中央の白い点が目立つため、これが地球?と思う人もいるかもしれませんが、これは太陽であり、これを左から右に通り抜けるうっすらとした白い点が地球です。
地球が軌道を回って、太陽を公転している様子を、地球軌道の外側から実際に眺めるというのは非常に珍しいでしょう。
本プロジェクトに参加した仏ソルボンヌ大学(Sorbonne University)の天文学者ホルヘ・エルナンデス・ベルナル(Jorge Hernández Bernal)氏は「このスナップショットに写る地球は、100メートル離れた距離から見たアリぐらいの大きさしかありませんが、私たちは皆その中にいるのです」と話しています。
実はマーズ・エクスプレスは出発直後の2003年7月3日にも、地球から約800万キロの位置から振り返って「地球と月」の姿を撮影していました。
それがこちらです。
これを見ると、マーズ・エクスプレスがいかに遠くまでたどり着いたのかが分かるでしょう。
そしてESAの研究チームは今回の撮影について「ある一枚の写真を想起させる」と話します。
それが1990年に撮影された「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)」と題されたものです。