ネッシーの正体は巨大ウナギなのか?最新の分析結果が発表
ネッシーの正体は巨大ウナギなのか?最新の分析結果が発表 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
biology

ネス湖にネッシーと見間違える巨大ウナギは実在するか?最新の検証研究

2023.07.27 Thursday

ネス湖に潜む謎の怪物「ネッシー」は、古くからスコットランドの民間伝承や目撃情報により注目を集めてきました。

数々の目撃談や研究が行われ、一部ではネッシーは恐竜の生き残りなどと噂されていました。

とはいえ恐竜の生き残りはあまり現実味がなく、現実的な解釈としてはそれが巨大うなぎの見間違いというものです。

そこで米国の民俗動物学協会で行われた最新の研究では、以前行われたネス湖全域から採取された環境DNAの調査結果を元に、ネッシーと見間違う可能性のある生物があるか検証が行われました

今回の記事では、ネッシー探索の歴史や民俗学的発見を探りながら、最新の科学的研究結果を紹介します。

果たして、科学はネッシーの謎を解き明かすことができるのでしょうか?

研究内容の詳細は2023年7月21日にプレプリントサーバーである『JMIRx Bio』に「The Loch Ness Monster: If It’s Real, Could It Be an Eel ? (ネス湖の怪物: 本物だとしたら、それはウナギでしょうか?)」とのタイトルでて公開されました。

What if The Loch Ness Monster Was Actually a Giant Eel? https://www.sciencealert.com/what-if-the-loch-ness-monster-was-actually-a-giant-eel
The Loch Ness Monster: If It’s Real, Could It Be an Eel? https://xbio.jmir.org/2023/1/e49063

6世紀に遡る「ネス湖の怪物」の歴史的記録

6世紀に遡る「ネス湖の怪物」の歴史的記録
6世紀に遡る「ネス湖の怪物」の歴史的記録 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

ネス湖は、スコットランドのグレートグレン断層沿いに位置する十和田湖より少し小さな淡水湖です。

ネス湖付近の怪物に関する最初の報告は、6 世紀(565年)に書かれたアドムナンの『聖コルンバの生涯』に記載されています。

アドムナンによると、アイルランドの修道士聖コルンバが仲間たちとともにピクト人の地に滞在していたとき、水獣に襲われて死んだ男の埋葬に立ち会いました。

その後、コルンバたちも水獣に襲われそうになりましたが、コルンバの言葉により水獣は立ち去り、コルンバの部下とピクト人はこれを奇跡として称えました。

これはネス湖自体ではなく近くのネス川を舞台にした物語ですが、ネッシーを信じる人達は、これが6世紀にはすでにネッシーが存在していた証拠だと主張しています。

ただ、水獣は中世の聖人伝説ではよく登場する存在のため、懐疑論者たちはそれが物語の面白さを増すための創作だと考えています。

また1871年にはひっくり返ったボートに似た物体が「うねって水をかき回している」様子を住民が目撃し、記録に残しています。

そして1930年代になると、ネス湖では巨大な首長竜のような怪物を目撃したという報告が次々と寄せられ、1934年にはあの有名なネッシーの写真(通称、外科医の写真)が撮影され、新聞に掲載されることになりました。

この写真は後に、撮影者本人がおもちゃのボートに恐竜の頭の模型を付けて撮影したフェイク画像だったことを告白していますが、近代のネッシーブームの火付け役となりました。

1934年にはあの有名なネッシーの写真(通称、外科医の写真)が撮影され、新聞に掲載されることになりました。ただこの写真は後にフェイクであったことが判明している。
1934年にはあの有名なネッシーの写真(通称、外科医の写真)が撮影され、新聞に掲載されることになりました。ただこの写真は後にフェイクであったことが判明している。 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

地元の人々にとっては観光客が増えるなど経済効果がうまれましたが、少なくない研究者たちの興味も引き、民俗学的な発見につながります。

民俗学の研究者が地元の歴史や口伝を調査したところ、ネス湖周辺では古くから水に潜む怪物についての民間伝承が語り継がれていたことが判明したからです。

一般に「水に怪物が潜む」という伝承は、子供たちが水場に近づくのを防ぐために大人たちの作り出した物語が起源だと考えられています。

ただネス湖ではその民間伝承が独り歩きし、中世では水獣やケルピー、近代ではネッシーとなって人々の耳に届いていたのです。

民間伝承が全国的に共有され、それが多くの目撃報告に繋がるという現象は日本の「河童」などにもみられる現象ですが、ネッシーの場合はメディアの急速な普及によって世界規模の話題になりました。

そのため20世紀後半になってもネッシーの探求熱は収まらず、潜水艇、ソナー調査、水中聴音器、水中写真撮影、水中ビデオ撮影などを使った体系的な捜索が行われるようになりました。

しかし残念なことに結果はイマイチであり、巨大な怪物「ネッシー」につながる証拠は得られませんでした。

ですがネッシーに対する興味は21世紀になっても続いており、2018年になるとネス湖の水に含まれる環境DNAの分析が行われました。

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