見た目が奇妙すぎる
骨格から全体像を復元してみると、P. コロッサスは胴体が大きく膨れ上がっているのに反し、頭と手足が異常に小さかったと推定されています。
チームは現代のクジラよりもマナティーやジュゴンにずっと近いと指摘しました。
生態の点でも彼らの方に似ており、マナティーやジュゴンは温暖な浅い水域に生息し、骨の比重が重くなっています。
これは潜水をしやすくするためで、骨格が重くできていると、肺から少しの空気を抜くだけで簡単に沈むことができるのです。
P. コロッサスも同じように骨の重さを利用して潜水し、海底の餌を食べていた可能性があります。
アムソン氏は「P. コロッサスはおそらく、浅瀬にたむろするのろまなダイバーだったでしょう」と指摘。
「歯の化石がないので何を食べていたかは分かりませんが、食料を得るために多くのエネルギーは費やさず、ほとんどの時間を海底で過ごしたと考えられる」と述べています。
このぷよぷよボディでは獲物の狩りをするのも一苦労だったでしょうから、マナティーやジュゴンのように海草を主食としていたのかもしれません。
研究者らは今回の発見について、地球史上最も重い生物がどんな姿をしていたかの謎を解くだけでなく、クジラの巨大化に関する理解を刷新すると考えています。
これまでの研究では、シロナガスクジラなどに見られるクジラ類の巨大化は比較的最近の出来事であり、過去1000万年以内に起こったと目されていました。
しかしP. コロッサスの存在は、クジラ類の巨大化が約4000万年前にはすでに実現していたことを示唆しています。
今回の発見により現時点における地球史上もっとも重い生物はP. コロッサスとなりましたが、今後この記録を塗り替える生物は現れるのでしょうか?