地下生活の厳しさ
計画的に作られた地下都市であれば快適に過ごせそうな気もしますが、一時的に地下に身を寄せるのと、そこを永遠の住まいとするのはまったくの別物でしょう。
多くの文化の場合、地下は死や終わりを象徴しています。狭くて換気が難しい場所での生活は、想像以上の厳しさがあるのからなのかもしれません。
『アンダーグラウンド:地下世界の人類史(Underground: A Human History of the Worlds Beneath Our Feet)』の著者、ウィル・ハント氏はLiveScience誌で「私たちの体は、生物学的にも生理学的にも地下での生活に適していない」と指摘しています。
太陽の光を受けない地下での長期生活は、人間の概日リズムを乱し、睡眠障害をはじめ、様々な健康問題を引き起こすことが考えられるでしょう。
さらに、地下には水害のリスクも潜んでいます。
アメリカ・ラスベガスに張り巡らされている地下トンネルは、雨水の排水を目的として作られたものですが、滅多に雨が降らない気候であることから、約1,500人のホームレスが住み着いています。しかし、突然の大雨が降った際には鉄砲水が発生し、多くの人々が命を失っているのです。
さらに地下建築には通常、地下の圧力に耐えられる頑丈な材料が必要とされます。また、掘削に取りかかる前には、大規模な地質調査も必要となってきます。
地下というその特殊な環境で生活するには、数々のリスクを伴うことを認識する必要がありそうです。