地上の活動に左右される地下の環境
地下生活の快適さは、地上の環境にも左右されそうです。現代の場合は、地下だからといって涼しく過ごしやすいとは限らないのかもしれません。
例として、アメリカ・シカゴの中心、シカゴループのビジネス地区を見てみましょう。
このエリアでは1950年代から、駐車場や地下鉄、地下室といった地下施設が次々と作られ、地上は高層ビルに覆われています。
こうした多くの施設が密集する地域では、地下の温暖化が問題となっているのです。
日本でも東京などの都市部で地下鉄を利用する人たちは気づいているかもしれませんが、地下だからといって低い温度が保たれるわけではありません。
放熱する設備が密集すれば、例え太陽などの影響を受けない地下であっても熱がどんどんこもっていくことになるのです。
私たちは地下に適応できるのか
私たちが地下空間に適応していくためには何が必要でしょうか。
安全性はもちろん、快適な温度、自然光が入り風通しの良い環境、そして何より地上とのつながりを感じられる空間が求められるでしょう。
この理想を実現した例として、カナダに存在する世界最大の地下街「モントリオール地下街(通称:RÉSO)」が挙げられます。
総延長32kmもの長さを持つこの地下街は、オフィスや店舗、ホテル、学校、駅、バスターミナル、アリーナなどの様々な施設と繋がっており、地上との一体感を保っています。
しかし、今後も地球の気温が上昇し続けるのならば、地下の温度も上がり続ける可能性があり、ただ単に地下都市を作るだけでは、そこは快適な空間とはならないのかもしれません。
結局のところ、私たちには長期的な視点での持続可能な環境対策が不可欠なのかもしれません。