どうやって「魚好きの舌」を獲得したのか?
イエネコの祖先は約1万年前に中東の砂漠で進化しましたが、当時のメニューに魚は入っていなかったと指摘されています。
ネコが魚好きの舌を発達させたのは、やはりその後の人間との関わりが大きなきっかけだったのでしょう。
イエネコを最初に家畜化したのは古代エジプト人とされていますが、彼らが漁で釣った魚の余りなどをネコに与え始めたことが、魚好きの扉を開くカギになった可能性があります。
その証拠に、紀元前1500年の古代エジプトではネコが魚を食べる姿を描いた壁画が残されています。
もともと主食にしていたネズミ肉と違って狩りする労力も省けますから、ネコにとっても魚好きになることには十分なメリットがあったはずです。
また中世には、中東のいくつかの港で漁師が残した魚のくずをネコが大量に消費していたことが伝えられています。
これは魚食文化の強かった日本には特に当てはまり、江戸時代までには”ネコ=魚好き”のイメージが庶民の間でしっかり根付いていたようです。
ネコはこうした人との共同生活の中で、魚好きの特性を徐々に深めていったのでしょう。
それでも今回の発見が、世界中のすべてのイエネコに当てはまるかどうかは分かりません。
ネコは大前提として肉食動物であり、現在でも欧米圏を含む多くの国では、キャットフードとして牛肉や鶏肉が与えられています。
マクグレイン氏も「この研究は完成した物語ではなく、私たちはまだ出発点にいます」と話しています。