メガロドンはなぜ絶滅したのか
映画の中では「実は絶滅していなかった」ことになっているメガロドンですが、絶滅していることはほぼ間違いありません。
メガロドンの化石もメガロドンの噛み跡が残った化石も260万年前より近代のものは発見されていないためです。
メガロドンは260万年前から始まった氷河期による水温の低下に適応できず絶滅したものと考えられます。
絶滅の理由は体温の高さ?
しかし、サメの中にはホホジロザメのように氷河期を生き抜くことができたものも少なくありません。
そんな中メガロドンが絶滅してしまったのは、その体温の高さが原因ではないかと言われています。
サメは魚と同様変温動物で、周りの水温によって体温が決まり、およそ15℃程度です。
しかし、メガロドンの体温は27℃前後であったことがわかっています。
巨大な体を持つメガロドンは、体内の代謝により周りの水温よりも10℃近く体温を高く保つことで泳ぐことができました。
代謝を高めるためには多くの肉類を食べる必要があったため、クジラなどの大型哺乳類を捕食していたのでしょう。
氷河期に入ると多くの生き物たちは温かい水を求めて低緯度帯に移動していきましたが、メガロドンは移動しませんでした。
メガロドンの餌であるクジラたちが恒温動物であり、冷たい水にも適応して高緯度帯に残ることができたためです。
メガロドンは下がった氷河期で水温の中で体温を保つためにより多くの食料を必要としましたが、クジラの数は変わらないので必然的に食料不足になりました。
水温が下がった状態で、代謝による体温上昇も望めなければ、当然泳ぐ速度もより遅くなったに違いありません。
さらに追い打ちをかけたのがメガロドンよりはるかに小さなホホジロザメの存在です。
ホホジロザメに負けたメガロドン
メガロドンが生きていた頃のホホジロザメの化石を調べた結果、メガロドンと栄養レベルが同じだったことが明らかになりました。
つまりメガロドンとホホジロザメは同じ食料を取り合っていたのです。
ホホジロザメもメガロドンと同様、代謝によって体温を調節することができるため、冷たい水の中でも問題なく泳ぎ回ることができます。
さらにメガロドンと違って体が小さいため、その代謝に要するカロリーはメガロドンと比べるとほんのわずかです。
ホホジロザメはメガロドンよりも効率的に獲物を取りながら冷たい海の中を泳ぎ回り、次々と繁殖していきました。
ホホジロザメはメガロドンのように大きなクジラは食べられないものの、子どものクジラを襲って食べることは少なくありません。
その結果、メガロドンはますます食料が足りなくなり、絶滅に追い込まれたものと考えられます。
このように氷河期を乗り切れず絶滅してしまったメガロドンですが、もしも映画のように生き残っていたとしたら、人間と海の関係は大きく変わっていたかもしれません。