1日2回以上の魚食で高血圧リスクが増加していた
今回の調査は、日本在住の一般成人2709人を対象としています。
最初に血液中のヒ素濃度と高血圧の有病率との関係性を調べたところ、血液中のヒ素レベルが高い人ほど高血圧のリスクも増加していることが確認されました。
またこれとともに、対象者の食事内容についても調査が行われ、6つのカテゴリーに分けた食品群(魚介類・肉/乳製品・野菜/果物・穀類・飲料品・菓子類)の摂取頻度と、血液中のヒ素レベルも比較されました。
その結果、あらゆる食品の中で魚介類の摂取頻度が、最も血液中のヒ素レベルの増加に寄与していることが分かりました。
血液中のヒ素レベルにおける寄与率は、1位が魚介類で25.3%、2位が肉/乳製品で9.6%、3位が野菜/果物で4.9%となっています。
そして最後に、魚介類の各種品目の摂取頻度と高血圧の有病率を調べたところ、1日に2回以上の頻度で魚を食べる人々において最も高血圧リスクが上昇していることが判明したのです。
下の図を見ると、特に魚肉と魚卵、貝類が高血圧のリスク上昇に関連していることが分かります。
その他、骨ごと食べる小魚や海藻、魚のすり身、イカ/タコ/甲殻類の摂取量は、高血圧に関連していませんでした。
チームはこの知見を検証するため、一般に流通している魚肉に含まれるヒ素をマウスに投与してみました。
すると血液中のヒ素濃度が増加し、それに伴う血圧の上昇が確かに認められたとのことです。
以上の結果から、高い頻度での魚食が血液中のヒ素レベルを高め、それが原因となって高血圧リスクを増加させることが明らかとなりました。
ただ魚好きや漁村に住む方々からすると「1日2回以上の魚食でもう過剰摂取になるのか」と驚きがあるかもしれません。
しかし「毎日魚を食べているけど、確かに高血圧だな」と心当たりがある方も意外と多いのではないでしょうか。
研究者は、大事なのは結局、色々な食品を組み合わせてバランスの良い食事を摂ることだと述べています。
魚が栄養素の宝庫であることは確かなので、適切な頻度で摂取するのが望ましいでしょう。