電波望遠鏡により「NGC 4632」「NGC 6156」が極リング銀河だと判明
デグ氏ら研究チームは、西オーストラリア州の電波望遠鏡「ASKAP」を用いた国際プロジェクト「WALLABY」の調査を行っていました。
WALLABYの目標は、南の空にある数十万の銀河を調査し、そのガス分布をマッピングすることです。
そしてこの最初の小規模な調査として600個の銀河の水素ガスを調べたところ、2つの銀河「NGC 4632」「NGC 6156」が、実は極リング銀河だったと判明したのです。
NGC 4632は、5600万光年離れたところにあり、これまでごく普通の渦巻銀河だと考えられていました。
ところが今回、水素ガスを検出できる電波望遠鏡を用いて観測したところ、NGC 4632を囲む水素の巨大なリングを見つけることができたのです。
前述のとおり、極リング銀河の特定自体は初めてではありません。
しかし、電波望遠鏡ASKAPを用いて、普通では見えない水素のリングを持つ極リング銀河が判明したのは、NGC 4632が初めてです。
同様に、1億5000万光年離れたところにあるNGC 6156も、小さなガスのリングを持つ可能性があると分かりました。
これらの事実は、普通の銀河のように見えてもASKAPのような望遠鏡でなければ見えないガスのリングをもった極リング銀河が、宇宙には数多く存在している可能性を示唆しています。
デグ氏も次のように述べています。
「この発見によって、近くの銀河の1~3%が、ガス状の極リングを持つ可能性が示されました。
これは光学望遠鏡が示すものよりはるかに多い割合です。
極リング銀河は、これまで考えられていたよりも一般的な存在なのかもしれません」
神秘的で美しい極リング銀河は極めて珍しい存在でしたが、もしかしたら私たちに見えていなかっただけで、これからどんどん発見されていくのかもしれませんね。