人は私にアレルギーがある(PATM: People Allergic To Me)
周囲にアレルギー症状を引き起こす「PATM」
自分の体臭が原因で、周囲の人にアレルギー反応を引き起こしたと訴える人が存在しています。
人の体臭は、皮膚表面から放出されるいくつかの揮発性化合物(いわゆる「人の皮膚ガス」)から成り立っています。体臭は通常、周りの人に「快適か、不快か」の問題として扱われます。
しかし、PATMを訴える人の周囲では、実際に、くしゃみ、鼻水、咳、目のかゆみ、目の充血などの症状に苦しむ人がいます。
本人も「今は外に出るのも怖い」と抑うつ状態に
周囲だけでなく、PATMに悩む人には、抑うつ状態や、他者とのコミュニケーションを避ける傾向がみられます。加えて、自分の体臭に悩んだ経験などから「自分はPATMで周囲に迷惑をかけている」などと、思い込む人もいます。
PATMは、インターネットのコミュニティサイトで生まれたインターネットスラングです。People (are) Allergic To Me(人は私にアレルギーがある)の頭文字を取ったものです。
米国の掲示板投稿型ソーシャルサイト『Reddit』には、活発なPATMコミュニティが存在し、症状に苦しむ人々が交流しています。
あるメンバーは、次のように苦しみを吐露しています。
「食事をすると、あちこちで咳き込む人がいる。今は外に出るのも怖い。どうやって生きていけばいいのかわからない。自分の人生がただ流れていくだけなのは悲しい」
また別のメンバーは、「重度のうつ病でいくつもの病院を訪れた」と語っています。
苦しむ人がいる一方で、PATMの実態は、科学的・医学的に全く解明されていません。
ここに光を当てようとしたのが、東海大学の関根教授の研究チームです。
研究者らは、PATMを訴える参加者の皮膚から不快臭を持つ化合物が放出されていることを発見しました。