ヨーグルトで「ニンニク臭さ」は消えるのか?
ニンニクを食べた後の独特の臭さは、ニンニクに含まれる有機硫黄化合物の「ジアリルジスルフィド」」が原因です。
これまでの研究で、ジアリルジスルフィドは特定の酵素や脂肪分、タンパク質によって除去することができ、それらの成分は主にリンゴやミント、レタス、牛乳などに多く含まれていることが分かっています。
一方で、研究主任のシェリル・バリンジャー(Sheryl Barringer)氏は以前から、牛乳と同じ乳製品であるヨーグルトにも同様のニンニク消臭効果があるのではないかと予想していました。
これについては経験的に理解している人も多いかもしれません。
ただバリンジャー氏によると、ヨーグルトのニンニク消臭効果は科学的には詳しく調べられてこなかったといいます。
(日本では一部で、ヨーグルトがニンニク臭に効くことを調べた独自の調査があるようです。)
ヨーグルトでニンニク臭気を99%カット!
そこで研究チームは新たにヨーグルトの消臭効果を検証することにしました。
実験では、皮を剥いた生のニンニク片を厚さ1ミリでスライスし、ガラス瓶の中に入れて室温で放置します。
次に、ニンニクから揮発する臭気成分(ジアリルジスルフィド)をガスクロマトグラフィー質量分析で測定し、何も加えない状態でのニンニク臭さを記録しました。
ここに一般的に市販されているプレーンヨーグルト100グラムを加えた結果、なんとニンニク臭気成分の99%が減少したのです。
これはニンニク臭さのほぼ全てが取り除かれたことを意味します。
またチームは、ヨーグルト中のどの成分が消臭効果を発揮しているかを知るため、ヨーグルトに含まれる水分・脂肪分・タンパク質を別々に加える実験も行いました。
すると水分にはそれほど大きな効果がなかったのに対し、脂肪分とタンパク質は優れたニンニク消臭効果を示したのです。
これについてバリンジャー氏は「ヨーグルトの脂肪分とタンパク質に、ニンニクの揮発性分子が空気中に放たれる前に吸着して閉じ込める効果があるためでしょう」と指摘しています。
さらに各種の分量を変えて実験してみると、乳脂肪やホエイ、カゼイン、ミルクなどの各タンパク質が多くなるほど、消臭効果も高まっていました。
また研究チームはニンニクの臭気を抑えるための他の方法や、もっとも効果的に臭気成分を減らすヨーグルトの種類についても調査を行っています。