木の組み合わせに高度な技術を使っていた!
今回、木材構造物が見つかったのはザンビア北部の「カランボの滝(Kalambo Falls)」付近にある遺跡です。
遺跡は高さ221メートルに及ぶ荘厳なカランボの滝の上部に位置し、1950年代に発見されて以来、継続的な考古学調査が行われてきました。
実際、同遺跡からは人の手によって掘られたと見られる約11万年前の木製品も見つかっています。
単体の木を加工した例なら他にもっと古いものが別の場所で発見されていますが、今回は木材同士を組み合わせた構造物の証拠として最古と見られています。
2019年に発見されたこの構造物は、一対の丸太が組み合わされた状態で出土しました。
2本の丸太はともにアフリカ南部の川岸に自生する「ブッシュウィロー(学名:Combretum erythrophyllum)」という中〜大型の広葉樹と特定されており、いずれも長さは1メートルを大きく超えています。
丸太の表面には、彫り込みや切り傷、摩擦など、無数の加工跡が見られました。
そして最も注目すべきは、上側の丸太の中央部に意図的な窪み加工が施されていたことです。
この窪み部分を下側の丸太にピッタリと嵌め込むことで、安定した組み合わせが可能になっていました。
これは木材の半分を削り取って、ペアとなる木材に嵌め込む現代の接合方法にも通じます(下図)。
さらに年代測定の結果、丸太は約47万6000年前にまで遡り、木材構造物として最古の証拠となることが判明しました。
その時点ですでに木材の高度な接合技術が習得されていたことを意味します。
しかし最も気になる点は「誰がこの建築物を作ったのか」でしょう。
こんな高度な技術が使えるのはヒト以外ありえませんが、47万年前というと現生種のホモ・サピエンスも近縁のネアンデルタール人もまだ存在していません。
ホモ・サピエンスが登場するのは約20〜30万年前、ネアンデルタールは早くて40万年前です。
では、丸太を組み合わせたのは誰なのでしょうか?