建築物を作ったのは誰?
カランボの滝の遺跡では残念ながら、ヒトの遺骨は発見されていません。
しかし有力候補として最も可能性が高いのは、約40〜60万年前に存在した「ホモ・ハイデルベルゲンシス」です。
実際、ザンビアの別の遺跡では約30万年前のホモ・ハイデルベルゲンシスの頭蓋骨が出土しており、この地域に彼らが住んでいたことが分かっています。
さらに彼らはそれ以前にいたホモ・エレクトスに比べて脳容量が大きく、より人間的な行動を取ることができました。
加えて、ホモ・ハイデルベルゲンシスは大柄で、大人の男性では身長180センチ、体重100キロに達していたと見られています。
頭がよくて体格も大きかったことは、重い木材を運んで加工し、組み合わせる作業をする上で有利に働いたでしょう。
一方で、今回の2本の丸太がどのような用途で使われたのかは未解明です。
研究者らは「何らかの建物の土台の一部である可能性が高い」と推測しています。
もしそれが確かなら、有史以前の原始人たちは単に洞窟だけを住処とするのでなく、木造の一軒家を建てたり、あるいは狩猟の移動先での仮住まいを一時的に建てていたかもしれないのです。
研究主任のラリー・バーハム(Larry Barham)氏は、今回の発見について「初期人類の生活スタイルに関する従来の理解を一新するものだ」と指摘します。
「彼らは知性や技術、想像力を駆使して、それ以前には見たことのないもの、存在すらしていなかったものを自分たちの手で作り出したのです」と話しました。
私たちホモ・サピエンスが誕生する遥か昔から、人類は木を使った豊かな暮らしを送っていたのかもしれません。