パーカー太陽探査機は時速63万5266kmという驚異的な速度を達成しました
パーカー太陽探査機は時速63万5266kmという驚異的な速度を達成しました / Credit:NASA Goddard / YouTube)
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時速63万km!NASAのパーカー太陽探査機が人類史上最高速度を達成 (2/2)

2023.10.11 Wednesday

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金星の重力を利用したスイングバイ

スイングバイとは、宇宙探査機惑星の近くを通過することで、その天体の重力を利用して速度を増減させる技術です。

探査機は天体の近くを通過する際、その天体の運動エネルギーの一部を取得、または放出することで、自身の速度や進行方向を変えることができます。この方法は、探査機の速度を調整するための推進剤を節約するために広く利用されています。

これはハンマー投げの競技で鉄球をぐるぐる回して遠くへ飛ばすのと似た原理です。

パーカー太陽探査機は太陽に接近するにあたり、太陽の重力に引っ張られて太陽に落下しないようにするため、その速度を上げる必要がありました。

そのために金星の重力を利用してこのスイングバイを複数回行い、速度を上げていったのです。

前回パーカー太陽探査機が16回目の太陽周回をした2023年6月27日には時速約61万kmだったので、約3カ月強で時速2万km以上も加速したことになります。

なお、2021年11月21日に10回目の太陽周回した際には時速58万6864kmでした。

ちなみに、パーカー太陽探査機以前の最高速度は、同じく太陽探査を目的とし西ドイツとNASAが共同で1976年に打ち上げたヘリオス2号が2011年に記録した時速25万2792kmです。

パーカー太陽探査機は金星の重力を利用したスイングバイで速度を上げました
パーカー太陽探査機は金星の重力を利用したスイングバイで速度を上げました / Credit:NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben

速度だけでなく太陽との距離も記録的

パーカー太陽探査機が驚異的なのはその速度だけではありません。

上述したようにこの探査機は約600万キロメートルまで太陽に近づく計画を元に作られており、今回の接近では太陽の726万km上空まで近づいています。

2018年10月29日の1回目の接近時では、太陽から約4300万kmを通過したことから考えると、太陽との距離も徐々に近づいていることがわかります。

パーカー太陽探査機は全部で24回の太陽周回が予定されており、その都度太陽に近づいていく予定です。

2024年11月には、再度金星を利用したスイングバイを経て、翌月12月に太陽上空から620万km以内にまで接近する予定です。

そして、この時には、また最高速度が更新されると考えられています。

パーカー太陽探査機には、太陽のコロナと太陽風の謎を解明するという人類にとって重要なミッションが与えられています。

残り7回の太陽周回で、太陽のどのような情報を私たちにもたらしてくれるのか、そしてどれだけ加速するのか今から楽しみですね。

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