自律型運搬ロボット「evoBOT」は「初期の人型ロボットの目標」に到達している!?
フラウンホーファー物流・ロジスティクス研究所(Fraunhofer IML)が開発した自律型運搬ロボット「evoBOT」は、非常にシンプルな構造ながら、運搬ロボットとして高いレベルを実現しています。
伸縮可能な2本の足の先には車輪がついており、この車輪でスムーズに移動したり、荷物を抱えながらもバランスを保ったりできます。
また自動ロック式の2本のリフティングアームは、重い荷物を挟み込んで持ち上げるだけでなく、回転するグリッパーによって荷物を意図的に傾けたり、水平に保ったまま上げたり降ろしたりできます。
将来、人型ロボットは人間と同じように、5~6km/hで歩き、約20kgの荷物を運ぶことができるかもしれません。
しかしevoBOTは、現時点でその基準をクリアしています。
それどころか、10倍速い60km/hで走り、単独で3倍重い65kgの荷物を持ち上げることができます。
また他の人が積み込みを手伝うなら、最大100kgの荷物を運ぶことさえできます。
加えてevoBOTは、「荷物を持ち上げて運ぶ」以上の作業も器用にこなします。
例えば、「水やり」「ケーブルの巻取り」「人間から小物を受け取る」ことも難なく行えます。
しかもevoBOT自身の重量は40kgと人間よりも軽く、バッテリー充電で最大8時間も動作します。
このように「evoBOT」が現時点でできることを考えると、人間の代わりに働くロボットは、人型である必要が全くないように思えます。
仮にあと数年で人型ロボットがこれらの機能を備えたとしても、その時には、evoBOTのような作業ロボットは、もっと便利で多くの仕事をこなしているでしょう。
よく将来のイメージとして「人間の周りで人型ロボットが働いている」様子が描かれますが、実は、evoBOTのようなロボットがたくさん働いているイメージの方が、よりリアルなのかもしれません。
しかもこれら非人型のロボットは、『スター・ウォーズ』の「R2-D2」や、ロボット掃除機「ルンバ」のように、どこか可愛らしさも持ち合わせており、ペットの変わりのような役割も担う可能性があります。
私たちが欲しているのは、高額な高性能人型ロボットではなく、可愛らしくて役に立つシンプルな作業ロボットたちなのかもしれませんね。