「ざくろ石」が「拳銃」、「格子縞」が「クロスワードパズル」
このように華麗なる復活を遂げたヘブライ語ですが、復活への道筋はかなり険しいものでした。
というのもヘブライ語は途中で新しい語彙が流入したりしたものの、基本的には2世紀で進展を止めた言語です。
当然19世紀の社会で生活する上で必要な語彙は全く足りておらず、それが復活の大きな足枷となっていました。
また発音のずれや語順の混乱があり、日常言語として使うのには支障がありました。
さらに当時ヘブライ語は神の言葉であると捉えられており、それを日常生活に使うということは神への冒涜であると考える人も多くいました。
実際にベン・イェフダは14歳の時にヘブライ語で書かれた普通の本を読んでいることが発覚し、叔父から勘当を言い渡されるという苦境を味わったことさえあります。
そこでベン・イェフダらはヘブライ聖書をはじめとする古の文献から様々な単語を探し、古代とは違った語義を与えて現代に復活させました。
例としては古代では「ざくろ石(ケイ酸塩鉱物のグループ、ガーネットという宝石で有名)」という意味で使われていた単語に「拳銃」、古代では「格子縞( 碁盤の目のように縦横に筋を現わした模様)」という意味で使われていた単語に「クロスワードパズル」という語義を与えるなど、意味の拡充に努めました。
またこうした作業でも語彙は足りないため、その穴はベン・イェフダらが自ら考案して新しい単語を作ったのです。
さらに発音や語順の整備を行い、言語体系を整えました。
そのこともあって「ヘブライ語は復活したのではなく、人工言語としてリメイクされた」という人もいます。