現地では「皇帝のエビ」の愛称で知られていた
ペルー北部にある「インカの温泉(バーニョス・デル・インカ)」は、インカ帝国最後の皇帝アタワルパが愛した名湯として有名です。
一説によると、アタワルパは侵略してきたスペイン人に囚われる直前にもこの温泉に浸かっていたと言われています。
さらにインカの温泉には古くからヨコエビが生息していることが知られていました。
現地では「皇帝のエビ(Emperor’s shrimp)」の愛称で親しまれ、このヨコエビを描いた切手まで販売されています。
ヨコエビは名前にもあるようにエビにそっくりな生き物ですが、正確にはエビよりもダンゴムシやミジンコに近い甲殻類の一種です。
体を横に倒して移動することから「ヨコエビ」と呼ばれ、世界中の海や湖、山などに広く生息しています。
その一方で、インカの温泉に住むヨコエビは種名が不明のままであり、何者なのかよく分かっていませんでした。
そこで広島大学とペルー国立カハマルカ大学は2021年から「皇帝のエビ」の共同調査を始めました。