放電でゼブラフィッシュの細胞に遺伝子が入った!
研究チームは、デンキウナギを「電源」、ゼブラフィッシュを「レシピエント(受け取り手)」、GFP遺伝子を「導入する遺伝子」に見立てて実験セットを作りました。
ゼブラフィッシュは飼育や繁殖が容易であるため、実験用のモデル生物として世界中で普及しています。
実験ではゼブラフィッシュの稚魚を用い、デンキウナギに食べられないよう通電性の容器の中にGFP遺伝子を含むDNA溶液とともに入れて、水槽の中に垂らします。
側にはデンキウナギを近づけるために、餌用の金魚をぶら下げておきました。
またGFP遺伝子は緑色に蛍光する機能があるため、放電後にゼブラフィッシュの細胞内に導入されたかどうかが確認できます。
デンキウナギには研究室で飼育していたものを使用することに。
デンキウナギは餌の金魚に食いつくことで放電を開始し、その電流が通電性の容器内にいるゼブラフィッシュに伝わります。
そして実験の結果、本当にデンキウナギの放電によってゼブラフィッシュにGFP遺伝子が導入されたことが明らかになったのです。
遺伝子導入の効率は機械を用いたエレクトロポーションには及びませんでしたが、ゼブラフィッシュの細胞内にちゃんと緑色に蛍光するGFP遺伝子が確認されています。
この結果を受けて研究チームは「デンキウナギの放電に、周囲の生物の遺伝子組み換えを引き起こすポテンシャルがあることを示す世界初の証拠だ」と述べました。
もちろん、これは実験下で観察された現象に過ぎず、実際にアマゾン川で同じことが起きているかどうかは分かりません。
一方で研究者らは、これまでに静電気で線虫が空を飛んだり、落雷で土壌細菌の遺伝子組み換えが起こることを示唆した先行研究があることから、自然界で生じる電気現象には私たちの知らない生物への影響がまだまだ隠されていると考えています。
こちらは実験の様子です。
研究主任・研究の発案者名について、誤りがあったため修正して再送しております。