白トリュフに続き、国産黒トリュフの発生に成功
トリュフは生きた樹木の根に共生して増殖する「菌根菌」に属しており、マツタケと同様、人工栽培が非常に難しいキノコです。
人工的にトリュフを発生させるには、樹木との水分やミネラルのやり取り、土壌の環境といった共生関係のメカニズムを解明し、それを完璧に再現する必要があるのです。
海外では、樹木の根にトリュフ菌を共生させた苗木を植栽することで、すでにトリュフの人工発生が可能になっていましたが、日本国内でのトリュフの人口栽培は実現されていませんでした。
それでも2022年11月には、日本でも、国産の白トリュフである「ホンセイヨウショウロ」をコナラ苗木に共生させ、人工的に発生させることに成功しています。
一足先に、より希少な白トリュフの発生に成功したわけですが、この度、黒トリュフの発生にも成功したと報告が上がりました。
2016年4月と7月に国産黒トリュフである「アジアクロセイヨウショウロ」の菌を摂取したコナラ苗木を野外に植栽したところ、7年目の2023年10月に、地表面に2個のトリュフが発生しているのを確認できたのです。
このトリュフを遺伝情報に基づいて分析したところ、間違いなく黒トリュフ「アジアクロセイヨウショウロ」であると証明されました。
白トリュフに続き、「国内で初めて人工的に国産黒トリュフを発生させることに成功した」と言えます。
研究チームは今後、キノコ発生の再現性を確認するとともに、短期間で安定的に発生させる技術開発を進めていく予定です。
この技術が確立されるなら、国産の白トリュフと黒トリュフが流通することになるでしょう。
そうなれば、日本でもより多くの人が世界三大珍味の1つを楽しめるはずです。