低い重力加速度では既存の重力理論が成り立たない
離れた連星のように重力が弱いときでも既存の重力理論が当てはまるのか、それとも修正ニュートン力学(MOND)のほうが正しいのか?
答えを得るため、研究者は欧州宇宙機関の Gaia 宇宙天文台から採取された2万6500ペアの連星の挙動を調査し、互いに及ぼしている重力加速度を算出しました。
すると連星間の距離が2000au(天文単位)以下では既存の重力理論に従った重力加速度であることが判明します。
しかし距離が2000auを超え始めると少しずつ既存の重力理論値との乖離がはじまり、5000auに達すると修正ニュートン力学に従った、より大きな重力加速度になっていることが示されました。
具体的には、重力加速度が0.1ナノメートル毎秒(0.1nm/s)より弱い場合には、ニュートンや一般相対性理論の重力理論で予測されるよりも、重力加速度が30~40%強くなっていました。
研究者はこの結果について「弱い重力加速度の領域ではニュートン力学と一般相対性理論の両方が崩壊していることを示す証拠となる」と述べています。
同様の結果は他の独立した研究でも得られはじめており、暗黒物質に頼った既存の重力理論は近いうちに試練のときを迎えるでしょう。