性別をコロコロ変えられる驚きの生態とは?
カクレクマノミは、スズキ目クマノミ亜科に属する海水魚の一種です。
オレンジ色の体に3本の白い縞模様が特徴であり、幼魚のときは体長2センチ、成魚になると約8センチになります。
カクレクマノミが面白いのは、一生の中で「性転換」ができることです。
生まれたときには性別がないのですが、コロニーを形成する中で、最も大きな個体がメスに、2番目に大きな個体がオスに性転換し、つがいとなります。
残りの数匹は繁殖能力をもたないサブメンバーとして控えますが、群れのリーダーのメスが亡くなると、今度は副リーダーのオスがメスになり、次にサブメンバーの中で一番大きな個体がオスになるのです。
クマノミ類には約30種が知られており、その多くが同じような性転換の戦略をとっています。
野生のカクレクマノミの群れにはこうしたヒエラルキーがあり、基本的にはアルファのメス1匹、ベータのオス1匹、ガンマのサブメンバー数匹で構成されるようです。
もう1つの大きな特徴が、イソギンチャクと共生関係を結んで棲家にすることです。
イソギンチャクの触手には毒針(刺胞という)がありますが、クマノミ類はそれに耐性があるため、他の魚と違って共生することができます。
一方で、かわいい見た目とは裏腹にかなり怒りっぽい性格で、棲家とするイソギンチャクに同種のクマノミが侵入すると、攻撃して噛みつき、巣の外へ追い払います。
ところが見た目がそっくりなクマノミでも、同種でなければあまり興味を示さず、執拗に攻撃したりはしません。
ほとんど見た目が同じなクマノミをどうやって見分けているのか?
OISTの研究チームは実験でその秘密を明らかにしました。