まるで探偵!研究者が火山灰からわかること
―― 火山噴火後の動向を探るために火山灰を調べるとありましたが、具体的にはどのようなことがわかるのでしょうか?
例えば、マグマ性なのか、水蒸気爆発なのかというのは、どうやって判断できるんでしょうか。
石塚::まず、火山灰の量についてお話しすると、私たちは火山灰の分布を細かく調べることから始めます。
多くの地点でデータを取り、それを面的に広げていく。そうやって立体的に分布を把握していくんです。それで火山灰の総量を見積もるわけですが、これは警察の捜査にも似ていますね。
次に、火山灰の性質について。マグマ物質が含まれているかどうかで、マグマ噴火なのか、水蒸気噴火なのかの判断をします。
例えば、火山灰に発泡した軽石があるとか、新鮮なガラス片が含まれているといった特徴があれば、マグマ噴火の可能性が高いです。
ただ、こうした判断は簡単にできるものではなくて、火山灰をたくさん見て経験を積まないと、瞬時の判断は難しい。高度な知識と経験が求められる世界だと言えます。

―― 火山灰の分析って、研究者の経験や能力に大きく左右されるんですね。
石塚:そうですね。火山灰の分析は、どうしても属人的になってしまう部分があります。物理学や地球化学の専門家でも、火山灰をあまり見慣れていない人には、判断が難しいかもしれません。
でも最近は、AIを使って火山灰の自動識別を進める研究も始まっています。将来的には、ある程度自動で判別できる時代が来るかもしれませんね。
―― AIで火山灰の分析が自動化されたら、研究の幅も広がりそうですね。
石塚:その通りだと思います。
ただ、最終的な結論を出すには、やはり研究者の判断が必要になるでしょう。
AIには大量のデータを分析させて、こんな感じだというところまで持っていく。その上で、人間の研究者が考察を加えて結論を導き出す。そんな流れになるんじゃないでしょうか。
―― ベテラン刑事の勘みたいなものが大事なんですね。長年の経験から培われた、目利きの力というか。
石塚:そういう面はありますね。火山灰を長く見続けてきた人には、パッと見ただけで「これは」と直感できるものがある。
もちろん、科学的な根拠に基づいた判断であることが大前提ですが、そこに研究者の勘みたいなものが加わることで、より深い考察ができる。
火山灰の分析には、そうした研究者の経験知が欠かせない部分があるんです。



























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