こんなデカい恒星ブラックホールはどうやって生まれるのか?
しかし、この貴重な発見は同時に大きな謎を提示しています。
これほど大きな恒星ブラックホールがどうやって形成されたのか、研究者たちにもわからないのです。
恒星ブラックホールはたいてい、元となる恒星が寿命を迎える中で大部分の質量を失ってしまうので、その後にできるブラックホールが太陽質量の30倍になることは考えられません。
その一方で研究者らは、あるひとつの仮説も立てています。
それは「ガイアBH3の元になった恒星が、水素やヘリウムより重い元素をほとんど含まない”金属不足の星”だったのではないか」というものです。
天文学では、水素やヘリウムより重い元素を指して「金属」と呼びます。
そして過去の研究によると、金属不足の星は一生の間に失われる質量が少なくなることがわかっているのです。
つまり、金属不足の星は寿命を迎えたときに巨大なブラックホールを作るための材料がまだ残っていることを意味します。
加えて、ガイアの観測データからはガイアBH3とその伴星がともに金属量に乏しいことが示唆されました。
これは研究者の仮説が正しいことを示しますが、この説を確かなものにするにはさらなる観測データが必要になるという。
今後、ガイアBH3の挙動を追うことで、巨大な恒星ブラックホールが誕生するシナリオの謎を解き明かせるかもしれません。