「ガラス」の代わりに「透明な竹」が開発される
世界中の科学者たちは、重くて脆いガラスに代わる材料を開発しようとしてきました。
例えば、数年前から「透明な木材」が登場しています。
これらの多くは、木材繊維から植物細胞壁の主成分である「リグニン」を化学的に除去し、アクリル樹脂やエポキシ樹脂で処理することで作られます。
このように作られた透明な木材は、透明で環境に優しく、ガラスと同等か、それ以上の強度を持ち、しかも軽くて断熱性に優れています。
ガラスの完全な上位互換のようにも思えますが、透明木材にも欠点があります。
ガラスよりもはるかに燃えやすいだけでなく、既に木材の需要が高いため、今後需要を満たしていくことができない可能性があるのです。
実際、中国では木材不足が目立っており、2050年には産業用丸太の需要が供給を上回るとさえ予測されています。
こうした背景にあって、イーチアン・ウー氏ら研究チームは、木材の代わりに竹を用いて、透明な材料を作ることにしました。
研究チームは、「竹は成長と再生の速度がはやく、4~7年で成木となり、建築資材として利用できます」と述べています。
また、「1エーカー(約1200坪)あたりの生産量は木材の4倍です」と続けており、竹が木材の供給不足に対応できることを強調しています。
しかも、竹の構造と化学組成は木材と非常によく似ているため、これまでに開発されてきた「透明な木材」と同じ方法で、「透明な竹」を作ることができます。
実際に研究チームは、竹からリグニンを取り除き、無水珪酸ナトリウムを注入。その後撥水処理を施すことで、竹由来の新しい透明材料を作ることに成功しました。
この竹材料は、光透過率71.6%であり、耐水性と耐火性を備えています。
従来のガラスや透明な木材の代わりに、建築材料として役立つことでしょう。
さらにこの透明な竹は、次世代の太陽電池として注目を集めている「ペロブスカイト太陽電池(曲げられる。薄い。軽い。低コストなどの利点がある)」の基盤としても利用できるようで、その場合、電力変換率を15.29%も向上させられる可能性があります。
今後は、多くの生産を見込める竹こそが、この「透明な竹」のように、新たな材料の基盤となっていくのかもしれません。