「透明な木材」は製造プロセスに問題あり!?
「木材を透明にする」研究は以前から行われており、既に透明な木材はいくつか作られてきました。
木はガラスよりも強度が高いため、建築者たちは透明木材を新しい選択肢の1つと見なしています。
「野球ボールが飛んできても割れない窓」ができるなど、可能性は広がっているのです。
しかし、研究者たちの多大な努力にもかかわらず、透明木材は主に製造方法が原因で商業化されていません。
従来の製造方法では、透明にするために、木材に含まれるリグニンを化学薬品で除去します。
リグニンは天然の木がもつ茶色と光吸収特性に関与しているため、それをまるごと除去することで透明化させるのです。
しかし、リグニンは細胞壁に接着して強固にしてくれる高分子化合物であり、木などには20~30%含まれています。リグニンがあるので、植物は縦に伸びても倒れてしまうことがないのです。
そのためリグニンを除去するということは、木材を弱体化させるということになります。
さらに、この製造プロセスには多くのエネルギーと時間が必要であり、大量の廃液も発生してしまうとのこと。
「透明な木材」というコンセプトは魅力的なのですが、実際のプロセスと完成品は微妙だったのです。
そこでLiangbing Hu教授ら研究チームは、リグニンを除去しない木材透明化を研究することにしました。