今回の研究は、身体活動の習慣の有無やその頻度と腹部脂肪との関係を明らかにするために行われ、対象は2011年から2018年の米国全国健康・栄養調査(NHANES)に参加した20~59歳の人たちでした。
二重エネルギーX線吸収法(DXA)という方法を用いて腹部脂肪の蓄積量が測られました。
この方法では、2種類のX線を利用して、その透過率の違いから、骨、脂肪、除脂肪といったように、身体を組成ごとに細かく分析することができます。
この研究では、そのDXAを用いて、内臓脂肪(腹腔内脂肪)、皮下脂肪(腹腔外脂肪)など、主に腹部脂肪に着目した分析を行っています。
また、身体活動の状況は、アンケートをもとに調査し、その結果をもとに対象者を次の3つのグループに分けました。
・非活動群:週の活動量が150分未満
・週末戦士群:週に1、2回の頻度だが、合計150分以上動いている
・定期活動群:週に3回以上の頻度で、合計150分以上動いている
なお、ここで言う週末戦士群とは、あくまでも週の頻度が1、2回のみである場合を指し、週末(土日)に運動する人だけでなく、その他の曜日に運動する人でも週3回未満の場合には含まれます。
また、アンケート調査では、身体活動の強度(激しさ)をもとに、中強度 (安静時の3~5.9倍のエネルギー消費量が見込めるもの)と高強度 (同じく安静時の6倍以上)の2種類に分類しています。
そして、高強度の時間は、中強度の時間の2倍に換算されました。
例えば、高強度の運動を週に1回、75分行っていた場合、その時間は中強度の運動150分相当に換算され、週末戦士群の基準時間を満たすと判断されました。
このように参加者をカテゴリー分けした結果、約1万人の分析対象者のうち、週末戦士群は10%未満でした。
一方、ほとんど運動しない人(非活動群)は過半数を超えていて、定期的にきちんと運動する人(定期活動群)がおよそ3分の1でした。
これらのグループの腹部脂肪を調べたところ、非活動群に比べると、定期活動群と週末戦士群では、同じくらい腹部脂肪が少ないことが分かりました。
また、身体活動の頻度に関わらず、週間の総活動時間が長い人の方が、全体として腹部脂肪が少ない傾向も見られました。
この結果から、この研究者は、身体活動量を増やすためには、週に1、2回集中的に運動する方法も、健康に良い効果が得られる可能性があると指摘しています。
また、腹部脂肪を減らすために行われた従来の介入研究では、日常生活で続けることが難しい方法が採用されがちだったことを踏まえ、頻度低く取り組める身体活動の方が、忙しい現代社会では、実践しやすい可能性があるとも述べています。
頻度については、1週間を通した時間を確保するために、細かく運動するのが得意な人と、一度に長時間運動するのが得意な人がいると思います。
一概にどちらが良い悪いと決めつける必要はなく、大切なのは、1週間の総活動時間を確保することだと、この研究からは読み取れるでしょう。