夏になると緑地や庭園、森林のように、緑がたくさんある場所に遊びにいきたくなりませんか?
緑の多い場所に行きたがるのは、あなたが直感的に「あること」を感じ取っているからかもしれません。
研究から、人は自然の中で時間を過ごすことで、より「生きている」実感を得られることが分かっています。
自然と接することは、コーヒーを飲むよりも自らを活き活きとさせることができまるのです。活力のある人は「やる気」だけでなく、身体の病気や精神的なストレスに対して「抵抗力」があるのです。
森を訪れることは、身体的にも精神的にも健康によいことが発見されています。その効果は以下の通り。
・免疫システムの向上
・血圧の低下
・ストレスの軽減
・気分を上げる
・集中力の上昇(ADHDの子どもにも効果あり)
・外傷や疾患からの回復速度が上昇
・活力の増加
・睡眠の質が向上
森林には人の免疫システムを向上させる効果があります。私たちは森林のなかで新鮮な空気を胸いっぱいに取り込むことで、フィトンチッドという物質を体内に取り込むのです。
フィトンチッドは植物が傷つけられたときに発する揮発性物質で、殺菌効果があります。人がそれを吸い込むと、白血球の1つであるナチュラルキラー細胞と呼ばれる免疫細胞の数が増加し、活発になります。ナチュラルキラー細胞はがんやウイルスなどを攻撃して身体の健康を守る細胞です。
木の側にいたり見たりするだけでも、ストレスの軽減や、血圧の低下によって気分がよくなります。これまでの研究から、自然環境のなかでの運動や木を近くで眺めるだけで血圧が低下することが分かっています。また、それだけでなく、ストレスに関係するホルモンや、アドレナリンの分泌を抑えてくれます。
実はこの効果は、木の写真を見るだけでも得られます。これはストレス軽減だけでなく不安や憂鬱、怒り、困惑や疲労感の低下にも繋がります。
人は仕事や学校、家族など様々なコミュニティの中で生活し、非常に忙しい日々を送ります。複数のタスクを同時にこなしたり、1つのことに長期間集中力を用いたりすると精神的に消耗してしまいます。そのような場合は、公園や森林に足を運んで、植物や水流、鳥などたくさんの自然に触れてみましょう。精神的に休息し、集中力も上がりるといわれています。
また、子どもの集中力も上がることが分かっています。最近の研究では、注意散漫な子どもが、自然のある屋外では落ち着くことが報告されています。また、ADHDを抱えた子どもの症状も軽くなることが分かっています。
つまり自然環境に身を置くことは、注意散漫な状態や疾患の処置方法として、お金もいらず、副作用もない、非常に有効な手段だといえます。
自然の景観を目にすると、手術を受けた患者の傷の治りがよくなることも知られています。病院に入院している患者には痛みや恐れ、いつもと異なる生活など様々な要因からストレスを受け、免疫システムが損なわれてしまいます。
研究では、緑の景観を見た患者は、そうでない患者に比べて退院にかかる時間が早く、鎮痛剤の使用も少量で済み、様態も安定することが多いという結果になったそうです。
もし、あなたが日常生活に疲弊した場合は、自然のある場所に足を運んでみてください。自然はあなたを受け入れ、心身ともに回復させてくれるでしょう。
via: PsychCentral / translated & text by ヨッシー