音楽鑑賞を共有すると「喜び」が増大した!
チームは本調査で3つの実験を行いました。
実験1はアメリカ在住の参加者52名(女性33名・男性19名、平均年齢34.72歳)を対象とし、実験用に作ったオンライン上のプラットフォームで、自分の好きな曲か、実験者が選んだ曲のいずれか(どちらもポップロックの楽曲)を聞いてもらいました。
参加者はこのとき、「1人で聴くか」「少人数で聴くか」「大人数で聴くか」の3つの異なる条件下で音楽鑑賞をします。
自分がどの条件にいるかは、アメリカの地図上に示された人数を示すピン留めで判別できます(下図を参照)。
例えば、1人で聴いているときはピン留めがなく、大人数で聴いているときは地図上に多くのピン留めがなされました。

音楽を聴き終わると、参加者は音楽鑑賞から得られた「喜び」や「興味」「親しみ」などの感情的反応を評価しました。
実験2はフランス在住の111名(女性62名・男性48名・ノンバイナリー1名、平均年齢29.62歳)を対象に同じ実験をしています。
ただ今回は音楽のジャンルを幅広くしたのに加えて、実験前後に向社会性を測定できるゲームをプレイしてもらいました。
例えば、参加者はゲーム内でバーチャルパートナーにお金を自由に共有したり、非営利団体に寄付したりできます。
実験3はフランス在住の67名(女性56名・男性11名、平均年齢23.52歳)を対象に、今度はクラシック音楽に限定しました。
そして実験後に同じく感情反応を評価してもらった後、実験中に試聴したクラシック音楽の内容に関してどれだけ正確に覚えているかを測定する記憶力テストをしています。

その結果、3つの実験のすべてで、参加者は一人で音楽を聴くよりも、他の人と一緒に音楽を聴いている方が強い喜びを感じていたことが判明しました。
特に喜びの大きさは試聴人数が多いほど、高まっていたとのことです(上図の左下)。
研究者らは「この結果が国や性別を問わず共通していたことや、オンライン上の繋がりだけでも確認できたことに驚いた」と話しています。
さらにこの結果は「向社会性」や「記憶力」についても同じで、複数人数で音楽鑑賞をしたときにより高まっていました。
これまでの研究で、向社会性は幸福感などのポジティブ感情によって強化されることが示されているので、一緒に音楽を共有したことの喜びが「他者への親切心」を高めたと考えられます。
また記憶力についても研究者は、音楽鑑賞を共有したときに誘発された強い喜びが脳を活性化させたことで、記憶の定着が促進されたのではないかと指摘しています。
以上の結果は、音楽体験の共有が個人の喜びを増大させるだけでなく、社会性や認知機能の改善にもつながることを明らかにしました。
音楽を誰かと一緒に楽しむことには、私たちの想像以上に幅広いメリットがあるようです。
なので、たまに友人たちと集まって「お気に入りの曲、聴かせてよ」とか「めちゃくちゃイイじゃん!」とあーだこーだ言いながら音楽鑑賞することで、幸福感の高まりだけでなく、友情もより一層深められるかもしれません。