誰かと一緒に音楽を聴くと「喜び」は大きくなるのか?
人類と音楽の付き合いはとても古いです。
2008年にはドイツにある石器時代の遺跡で、ワシやマンモスの骨から作られた約4万年前の笛が発見されました。
人類はそれほど大昔から音楽を楽しんでおり、今日に至るまで私たちの豊かな生活に欠かせない存在となっています。

また多くの研究は、音楽を聴くことで「喜び」の感情を司る脳領域が活性化されることも明らかにしてきました。
それだけでなく、音楽鑑賞は自律神経に作用して、不安やストレスを解消したり、快感や安眠を促す効果があることも知られています。
その一方で、こうした音楽のもたらす効果についての研究は、ほとんどが個々人の音楽鑑賞の体験に焦点を当てたものでした。
しかし私たちは誰かと一緒に音楽を聴くことの喜びを日常生活の中で十分に実感しているはずです。
友人たちと自宅でお酒を飲みながら音楽鑑賞をしたり、カラオケで歌を歌いながら盛り上がったり、ライブやコンサートで同じ音楽の音色に浸ったりと、そうした体験から得られる喜びは一人で音楽を聴くときとはまた違ったものがあります。

そこで研究チームは今回、音楽を一人で聴く場合と複数人で聴く場合で、そこから得られる喜びがどのように変わるかを調査しました。
またチームは、喜びの感情の変化に加えて、複数人での音楽鑑賞が「向社会性(見返りを期待することなく、自分の意思で人助けをしようとする行動)」や「記録力」に影響を与えるかも調べています。
では、その具体的な結果を見てみましょう。