ENGRAMの仕組みをわかりやすく解説
ENGRAMは、細胞が受け取ったシグナル情報をDNAに記録する画期的なシステムです。
このシステムの仕組みを理解するには、まずその各役割を知ることが重要です。
ENGRAMの主要な登場人物は、情報の受信役「CRE」、情報の書き込み役「プライムエディティングガイドRNA(pegRNA)」、そして書き込み場所を指示する「DNAタイプライター」です。
例えば、あるホルモンが細胞にシグナルを送ると、そのホルモンに対応するCREが活性化され、遺伝子の発現が促進または抑制されます。
ENGRAMでは、このCREの活性化を利用して、細胞に起きた生物学的イベントを検知します。
次に、プライムエディティングガイドRNA(pegRNA)です。
pegRNAは、CRISPR技術を応用したもので、特定のDNA配列を編集するためのガイドRNAです。
ENGRAMでは、CREが活性化されると、このpegRNAが生成され、情報の書き込み役として特定の塩基対をDNAに挿入します。
この塩基対は、どのシグナルが発生したかを記録するための「シンボル」として機能します。
しかし、同じ場所に複数のホルモン情報を書き込むと、情報が重なってしまいます。
そこで、DNAタイプライターという仕組みが登場します。
DNAタイプライターは、情報を書き込む場所を移動させる役割を果たします。
これにより、異なるホルモン情報が順番にDNAに記録され、時系列的な記録が実現します。
この一連の流れをタイプライターで紙にインクを打ち込む作業に例えるなら、CREとpegRNAがインクを紙に打ち込む作業を行う役割、そしてDNAタイプライターが二重の打ち込みを避けて時系列に沿うように記述するための改行レバーの役割を果たしていると言えるでしょう。
全体の流れを簡単に言うと、
「ホルモン1が発生→情報の受信役CRE1が活性化→情報の書き込み役pegRNA1が対応する塩基対をDNAに挿入→DNAタイプライターが次の書き込み位置を準備→ホルモン2が発生→情報の受信役CRE2が活性化→情報の書き込み役pegRNA2が対応する塩基対をDNAに挿入→DNAタイプライターが次の書き込み位置を準備→……」
という具合になります。
ENGRAMはこのようにして、細胞内のさまざまなシグナル情報を時系列でDNAに記録します。
研究者たちは、ENGRAMの改良を続けることで、将来的には細胞の全歴史を記録することが可能になると期待しています。
アサシンクリードの世界のように、細胞の記憶を追体験するのは現状ではまだ不可能ですが、細胞のフライトレコーダーとして未来の医療や細胞の機能解明に革命をもたらすことになるでしょう。
何か物語が立ち上がってきそうな、ロマンある話ですねー(๑’ᴗ’๑)
その技術が確立されれば…おれの周りで起こった全ての出来事を解明されるかも知れない!
おれは妻となるべき女性と離れ離れにさせられてるから…。