愛する家族を失うと老化が早まる
愛する家族を失うと老化が早まる / Credit:Canva
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【人生最大のストレス】愛する家族を失うと老化スピードが速くなる

2024.08.29 Thursday

親、兄弟、配偶者、子供など、愛する家族を失うことは、人生で最も辛いことの1つです。

残された人の悲しみは簡単に癒えることはなく、人生最大級と言って良いストレスを受けることになります。

だからこそ、アメリカのコロンビア大学(Columbia University)に所属するアリソン・アイエロ氏ら研究チームが発表した新しい研究結果は、納得がいくものです。

彼女らの研究は、「愛する家族を失うことで人の老化が早まる」と報告しているのです。

研究の詳細は、2024年7月29日付の学術誌『JAMA Network Open』で発表されました。

Losing a Loved One May Speed Up Aging, Study Finds https://www.publichealth.columbia.edu/news/losing-loved-one-may-speed-aging-study-finds
Familial Loss of a Loved One and Biological Aging NIMHD Social Epigenomics Program https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2024.21869

愛する人を失うことは「人生最大のストレス」

愛する人の死は、人生最大級のストレスをもたらす
愛する人の死は、人生最大級のストレスをもたらす / Credit:Canva

ほとんどの人が、人生のどこかの段階で、自分の愛する人の死を経験します。

高齢の親が重い病気を抱えたり、兄弟や配偶者を交通事故で失ったりすることがあります。

また、幼い子供がアクシデントに巻き込まれたり、流産によって胎内の赤ちゃんを亡くしてしまったりするケースもあります。

そのようにして愛する家族が亡くなった直後では、強い衝撃と共に、死を受け入れられない感情が沸き起こります。

その後は長い期間、「自分を責める気持ち」や「寂しさ」、「故人のことばかり考えてしまう心理状態」が続くでしょう。

この時に受けるストレスは、「人生で最も大きい」と言われており、当然、体にも悪影響を及ぼします。

幼少期における家族の死はトラウマを植え付け、健康にも悪影響を及ぼす
幼少期における家族の死はトラウマを植え付け、健康にも悪影響を及ぼす / Credit:Canva

実際、過去の研究では、特定のライフステージで愛する人を亡くすことが健康や死亡リスクに悪影響を与えると分かっています。

例えば、幼少期に親または兄弟を失った人は、トラウマを抱え、精神状態が悪化したり、老後の死亡リスクが上昇したりすると分かっています。

しかしながら、「愛する家族を失う」ことは、幼少期だけでなく、人生の様々な段階で経験するものであり、そのような幅広い期間を扱った研究は多くありません。

そこで今回、アイエロ氏ら研究チームは、エピジェネティック・クロックと呼ばれるDNAマーカーを使用して、愛する人を失った経験と老化スピードの関係を調査しました。

このエピジェネティック・クロックとは、エピゲノム(どの遺伝子を使い、どの遺伝子を使わないかを決めるスイッチ)のうち、DNAメチル化のパターンを調べることで、細胞や組織の生物学的年齢を推定する技術のことです。

これらのパターンは時間と共に変化するため、生物学的年齢の指標として使うことができます。

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