行動パターンにも老化が影響を与えている
老化による変化は、細胞やDNAなど生物学的なもの以外に、行動の変化となって現れることが知られています。
たとえば人間の場合、年を取るにつれて生活様式が固定化し、同じような場所で同じような行動を続けがちになります。
また同様の固定化は思考パターンや好みにも起こります。
若い頃は新しい思想や概念に敏感でしばしば転向を繰り返してきた人々も、年齢と共に固定され、新しい思考パターンを採用するのが難しくなっていきます。
しばしば老人が頑固と見なされてしまうのも、背後にはパターンの固定化が影響していると考えられます。
また昔は色んな音楽を探して、好みの曲を組合わせてマイリスト作りに躍起になっていた人も、最近の音楽については興味を示さなくなってしまいます。
さらに交友関係の幅広さが失われ、限られた交友関係の中に身を置きがちになります。
量より質に目覚めただけならば、限られた交友関係も中身の入れ替わりが起きるはずですが、実際には人員の固定化が進行してしまいます。
老人に新しい親友ができないわけではありませんが、若い頃にくらべてその頻度は著しく低下しています。
このような変化は「加齢による行動変化」の一種として知られており、どの文化や宗教に属するかにかかわらず、人間全体にみられる現象として知られています。
ただこのような加齢による行動変化が巨大な脳を持つ人間特有のものであるか、あるいは他の種にも当てはまる共通現象であるのかは、不明なままでした。
そこで今回、テルアビブ大学の研究者たちは、比較的長命な鳥類として知られるシロエリハゲワシを観察することで、加齢による行動変化がハゲワシたちにも現れるかを調べることにしました。