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生命は生と死を超えた「第三の状態」の状態が存在すると判明/Credit:Forms of life, forms of mind Dr. Michael Levin
biology

生命には生と死を超えた「第3の状態」が存在すると判明 (3/3)

2024.09.18 Wednesday

前ページ生と死と第3の状態が循環する物語

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第3の状態になる仕組み

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第3の状態になる仕組み/Credit:Canva

生物が死んだり分解された場合、なぜ一部の細胞は第3の状態に移行できる一方、そうでない細胞も存在するのか?

研究者たちは、環境や細胞の活性状態などいくつかの要因があると述べています。

たとえば人間の白血球は死後60~86時間で死滅します。

マウスの骨格筋細胞は死後14日程度、羊や山羊の線維芽細胞は死後1カ月程度まで培養可能です。

これらの差は、細胞が必要とするエネルギー量に依存すると考えられています。

活発で大量のエネルギーを必要とする細胞ほど寿命が短く、培養も困難になります。

また死後に働く遺伝子も重要な要因となります。

生物が死んだ場合、残された細胞ではストレス関連遺伝子や免疫関連遺伝子の活動が大幅に増加します。

体の恒常性が失われたことに対して、細胞はなんとか生き残ろうと抵抗するのです。

この過程で、一部の細胞には第3の状態に移行する能力が解除されると考えられます。

またゼノボットやアンソロボットにおいて多細胞化が起こる仕組みについては、細胞表面に存在する特殊なイオンの通路が複雑な電気回路として機能するとの説も提唱されています。

この電気回路の働きにより、細胞が互いに通信し、多細胞化や運動能力など生きていたころにはなかった新機能を獲得すると考えられます。

研究者たちは、生と死を超えた第3の状態の理解が進み制御ができるようになれば、アンソロボットのような100%人間の遺伝子によって作られた生体ロボットを開発できると述べています。

第3の状態は今後の生物学において、新たなフロンティアになるでしょう。

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