昏睡から目を覚ますまでの最長記録は27年!
先ほど述べたように、昏睡状態が続く長さは患者によってそれぞれです。
短ければ数日で目を覚ましますが、通常は2〜5週間続くことが多く、長くなれば数カ月から数年単位で目を覚まさないケースが見られます。
これまでに知られている昏睡状態から目覚めた患者の最長昏睡期間は、1991年に交通事故に遭って以来、27年間も昏睡状態が続いたアラブ首長国連邦(UAE)出身の女性ムニラ・アブドラ(Munira Abdulla)さんの症例です。
事故当時32歳だったアブドラさんは幼い息子を学校に迎えに行く途中、乗っていた車がバスと衝突し、脳に重傷を負いました。
何とか一命は取り留めたものの、昏睡状態に陥り、延命治療を受けながらUAEやロンドンの病院を転々として、最終的にドイツの病院に移送されます。
そこで事故から27年後の2018年にアブドラさんは何の前触れもなく、突如として昏睡状態から意識を取り戻したのです。
病室には事故当時4歳だった彼女の息子のウマルさんがおり、歓喜の瞬間となりました。
ウマルさんはその時を振り返り「私は何年もの間、母が目覚める瞬間を夢に見ていました。それが現実のものとなり、母が最初に口にした言葉は私の名前だったのです」と話しています。
親子はその後、UAEの首都アブダビに戻り、アブドラさんはリハビリを受けながら会話をできるほどまで回復したとのことです。
彼女のように昏睡状態から27年も経ったのちに目を覚ますケースは極めて稀であり、他に存在しません。
では、昏睡状態から覚醒するには何が必要なのでしょうか?