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昏睡患者が前触れもなく突如として目覚めるのはなぜ? (3/3)

2024.10.25 Friday

前ページ昏睡から目覚めるには何が必要?

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人為的に昏睡から目覚めさせる治療方法とは?

まず最初に挙げられるのが内のドーパミン量を増加させる薬剤「アマンタジン」の投与です。

パーキンソン病の症状改善のためにも使用されるアマンタジンは、ニューロンから放出されるドーパミンの量を増加させる働きがあります。

ドーパミンは脳内ネットワーク間の情報伝達に不可欠な物質であり、ドーパミン量を増やすことで脳の再活性化が促されるのです。

脳の再活性化は意識の回復につながります。

実際に過去の研究でも、昏睡状態にある患者はドーパミン量が少なくなっていることがわかっており、2012年には外傷性脳損傷で昏睡状態にあった患者にアマンタジンを投与した結果、意識の改善が見られたケースが報告されていました(New England Journal of Medicine, 2012)。

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そしてもう1つの方法は「脳深部刺激療法」です。

これは昏睡患者の脳深部に外科的に電極を埋め込み、少量の電気刺激を与えながらニューロンを再活性化するというもの。

特にこのアプローチでは、注意と覚醒を制御する脳領域である「視床」がターゲットにされます。

また患者の脳に直接電極を埋め込む侵襲的な方法ではなく、手術なしで頭部の外側から超音波振動を与えて、脳深部のニューロンを再活性化させる非侵襲的な方法もあります。

ここに述べた治療方法はいずれも、昏睡患者の脳の意識スイッチをONにするための有望なアプローチとして注目されています。

それでも、昏睡から覚醒する脳の仕組みが完全に解明されていない以上、患者を100%目覚めさせる方法というのは現時点で存在していません。

またこうした人為的な治療方法で効果が得られるか否かは、患者の脳損傷レベルの程度によっても大きく変わります。

このように昏睡からの目覚めは、脳損傷に対するネットワークの修復状況と、脳が活性化するきっかけが大きな要因となっているようです。

しかし、この条件を人為的に満たして、昏睡から回復させるには問題が複雑すぎるため、まだ医療としては確立できません。

脳はまだまだ未知の領域なのです。

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