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危険なウイルスの空気感染を防ぐためには、高感度のモニタリング技術の向上が不可欠です。/ Credit : Canva
biology

空気中に浮遊するウイルスをリアルタイムで追跡する技術を開発

2024.12.08 Sunday

空気感染ウイルスに対する高感度のモニタリングは感染症予防に不可欠ですが、現状の手法では超低濃度のウイルスを検出することは困難となっています。

中国の清華大学の研究チームは、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス(A型、B型)および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)について、検出感度が従来と比べて約10倍以上の(10コピー/mL)の統合型マイクロ流体カートリッジを開発しました。

このカートリッジは、400 L/分の高流量エアロゾルサンプラー(ウイルス収集装置)と統合され、空気中のウイルス検出においても、従来と比べ高精度の空間分解能(0.83コピー/m³)を達成しています。

また、同チームはM-RIAMs、S-RIAMs、R-RIAMsという3つのエアロゾルのモニタリングシステムを開発し、それぞれ異なる用途シナリオに適用しています。

これらのシステムを使用した実際の環境下での評価により、エアロゾル中のウイルスモニタリングが空気感染の対策に有効であることが確認されました。

RIAMシステムは、空気中のウイルス感染防止に大きく役立つと期待されています。

この研究の詳細は、2024年10月10日付の『Nature Communications』に掲載されています。

Multi-scenario surveillance of respiratory viruses in aerosols with sub-single-copy spatial resolution https://doi.org/10.1038/s41467-024-53059-x

高感度のウイルス検出システムとは

空気感染するウイルスのモニタリングは、感染症対策の鍵を握っていますが、特に超低濃度でのウイルス検出は依然として難しい課題となっています。

そんな中、清華大学の研究チームが新たな技術を開発しました。

それは、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス(A型・B型)、そして呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対して、10コピー/mLという優れた検出感度を有するマイクロ流体カートリッジを搭載したモニタリングシステムです。

このシステムをエアロゾルサンプラーと統合することで、空気中でも驚異の0.83コピー/m3未満の空間分解能を達成し、空気中に浮遊するウイルスをリアルタイムで追跡することが可能になりました。

では、今回開発された検出システムの性能レベルとはどの程度なのでしょうか。

まず、ウイルス検出感度ですが、これは液体中の少量のウイルスに対してどれだけ検出できるかを示す能力を表します。

「10コピー/mL」という数値は、1ミリリットルの液体中にウイルスのコピー数(ウイルス粒子の個数)がたった10個しか存在しない場合でも、その存在を検出できるという意味です。

多くの市販のPCR検査では、検出感度は100コピー/mL~1000コピー/mL程度であり、10コピー/mLという感度は、その約10倍から100倍の精度で非常に微量なウイルスでも検出が可能ということなります。

一方、空間分解能とは、空気中にどれだけのウイルスが存在するかを測定する能力を表します。

「0.83コピー/m³」という数値は、1立方メートルの空気中にウイルスが0.83個存在している場合でも検出できるという意味です。

一般的な空気サンプラーやセンサーの空間分解能は1コピー/m³~10コピー/m³が多く、0.83コピー/m³という性能はそれらよりもさらに精密に空間内のウイルス濃度を検出できることを示しています。

すなわち、このウイルス検出システムは高感度で空気中のウイルス量を検知し、詳細にモニタリングできるシステムなのです。

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