量子電池は充電量を超えたエネルギーを放出できる
量子電池は充電量を超えたエネルギーを放出できる / Credit:Canva
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量子電池は充電量を超えたエネルギーを放出できる

2024.11.06 Wednesday

量子電池の奇妙な特性が明らかになりました。

ドイツのポツダム大学(UP)で行われた研究により、量子電池とそれを使う機械の両方で量子状態を共有すると、電池が失うよりも多くのエネルギーを機械が得られる可能性が示されました。

この仕組みを応用することができれば、通常の電池とは桁違いに効率的な電力供給が可能となるでしょう。

しかし、電池はそもそも蓄えたエネルギーを失うことで仕事をこなすはずです。

なのにどうして失うよりも大きなエネルギーが供給できるのでしょうか?

研究内容の詳細はプレプリントサーバーである『arXiv』にて公開されています。

Correlations enable lossless ergotropy transport https://doi.org/10.48550/arXiv.2406.10468

量子電池は失うより多くのエネルギーを供給できる

量子電池は失うより多くのエネルギーを供給できる
量子電池は失うより多くのエネルギーを供給できる / Credit:Canva

電池は仕事量を蓄え必要に応じて放出する、それが唯一の機能です。

そのため通常の電池と同じように仕事量を蓄えられる量子システムは、量子電池と呼ぶことができます。

量子電池は現在最も盛んに研究が行われている分野であり、量子世界の不思議な挙動を利用することで、常識では考えられない挙動を行います。

たとえば2023年に東京大学が開発した量子電池は、因果律を打破して充電の重ね合わせ状態を作ることで、1つしかない充電口に別々の世界からそれぞれ充電器を突っ込んだかのような充電効率を達成しました。

東京大学が「因果を打ち破って充電」する量子電池を発表

このように量子電池がかかわる研究は、極めてエキセントリックな結果をもたらしてくれます。

ただ既存の研究は量子電池の充電や安定性に重きを置いており、量子電池からの出力についてはあまり研究が進んでいませんでした。

そこで今回ポツダム大学の研究者たちは、未来の世界を見据えて、量子電池が量子的システムを備えた機械に対して使われたときに、何が起こるかを数学的手法やシミュレーションを用いて確かめることにしました。

すると驚いたことに、電池と機械が量子的に結びついている場合、電池が失うエネルギーを超えて機械にエネルギーを供給できる可能性が示されました。

研究者の1人であるカレン・ホヴァニシアン氏はこの結果を受けて「電池と機械がお互い量子的な相関関係にある場合、機械は電池が与える以上の電力を得ることができる」と述べています。

しかしそうは言っても、古典的世界に長年身を置いている私たちにとってはなかなか納得できるものではありません。

そこで次は実験過程を追いつつ、理解を深めていきたいと思います。

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