光子が「見える」とはどういうことか?
光子は、光の「粒」としての性質を持つ一番小さな単位です。
普段私たちが見る光は、たくさんの光子が集まって流れる「川」のようなものですが、その一つ一つの粒が光子です。
この光子は、エネルギーを運ぶ粒子としても知られ、太陽光が私たちを暖めたり、スマートフォンの画面を明るくする力の正体でもあります。
ただ「光子が見える」とは、光子そのものを顕微鏡で覗き込むようなものではありません。
実際には、光子が物質と接触したり、特定の環境でどのように動くのかを捉えるということです。
生物学的には眼の網膜に光子が命中することを「見える」と言いますが、それも光子が網膜にある細胞に接触した結果を脳が検知しているのです。
野球ボールを見る場合も野球ボール(物質)に当たったって反射した光を目(物質)で感じ取るという間接的なプロセスによるものです。
そこで今回の研究では、「光子が物質と相互作用する際の動き」を捉えるため新しいアプローチが用いられました。
光子を「小さなダンサー」だとすると、このダンサーは、実験のために用意された特別なステージ(ナノスケールの光学装置)で踊り、その動きがステージに微細な影響を与えます。
研究者たちは、直接ダンサーを見ることはできなくても、ステージに残された足跡や振動を使って、ダンサーがどのように踊っていたのかを再現することに成功したのです。
今回の研究では、この「振る舞いの足跡」を科学的に解釈し、映像のように再現する技術が用いられました。
研究者の1人であるユエン博士は「私たちの考案した方法により、これまで見られなかった光子の画像を作成することができた」と述べています。