男性ホルモンが多いと「酒飲み」になる?
私たちヒトは出生前の胎児の発達段階で、性ステロイドホルモンの影響を受けています。
例えば、男児では発達中の精巣から男性ホルモンである「テストステロン」が分泌され、脳や身体の成長に作用します。
一方の女児では主に母体や胎盤を介して女性ホルモンである「エストロゲン」の作用を受けています。
このように男児ではテストステロンの影響を受けやすく、女児ではエストロゲンの影響を受けやすい傾向がありますが、性別ごとに分泌できる性ホルモンが限定されているわけではありません。
男児でもテストステロンがエストロゲンへと変換されますし、女児でも卵巣から男性ホルモンであるテストステロンを分泌することが可能です。
ただそれぞれの性ホルモンの濃度差によって、性格や行動、身体に個人差が出ることはよく知られています。
その一つとして挙げられるのが、男性ホルモンであるテストステロン値が高いほど、アルコール摂取量が多くなりやすいことです。
南デンマーク大学(SDU)による2014年の研究でも、そのことが示されています。
この研究では、一般の若年男性6472名を調べたところ、テストステロン値が高い男性ほど、日常的なアルコール摂取量が有意に多くなっていることがわかったのです(Human Reproduction, 2014)。
テストステロンの多さはリスク追求傾向や自己制御能力に関連しており、テストステロン値が高い人は「過剰なアルコール摂取」といったリスク行動を取りやすくなるのだと指摘されています。
ここで注意すべき点は、テストステロン値が高く、アルコール摂取量が多いからといって「お酒に強いわけではない」という点です。
お酒をいくら飲んでも酔わない体質はまた別の話であって、テストステロン値とはあまり関係していません。
ですからテストステロン値が高く、アルコール摂取量が多い人は、暴飲に関連した疾患の発症率や死亡率も高くなると考えられています。
そしてもう一つ、テストステロンの多さが影響を及ぼす場所があります。
それが「薬指の長さ」です。