一族に伝わる「ジンベエザメ狩り」の秘術のやり方とは?
カリフォルニア湾のシャチ一族が行うジンベエザメ狩りは常に同じ方法が取られていました。
まず、数頭のシャチがジンベエザメを取り囲み、その頭を頭突きやヒレなどで何度か殴りつけ、気絶させて動けなくします。
そしてここがポイントなのですが、気絶したジンベエザメをほぼ必ず「逆さまにひっくり返す」のです。
その理由はおそらく、ジンベエザメのお腹が背中などの他の部位に比べて柔らかく無防備だからだと考えられます。
ジンベエザメの体は他のサメと同様、硬いウロコで守られていますが、白いお腹側がウロコが小さかったり、密度が低くなっています。
そこでシャチ一族はジンベエザメのお腹を露出させて噛みつきやすい姿勢にし、大量出血させます。
それから栄養豊富な臓器を狙って食べていると考えられます。
特にジンベエザメの肝臓は栄養が豊富に貯まっている場所ですが、まだシャチ一族が肝臓を食べたシーンは捉えられていません。
かの有名な南アの殺し屋シャチコンビもホオジロザメの肝臓を狙うことが知られています。
この一貫したジンベエザメ狩りの手法から、研究者らは「このシャチ集団が他の海域では見られない独自の狩猟戦略を形成し、伝承している点で驚くべき発見である」と指摘しました。
しかし、シャチはそもそも海で敵なしの最強ハンターであり、ホオジロザメはおろか、地球最大の生物・シロナガスクジラまでも襲って食べる事例が確認されています。
しかもジンベエザメはホオジロザメと違って大人しく、動きものろいので、世界最大の魚類といえども、襲いやすいといえば襲いやすいターゲットです。
では、なぜカリフォルニア湾のシャチ一族だけがジンベエザメ狩りをし、他の海域のシャチ集団はジンベエザメを狩らないのでしょうか?