フクロウの首はなぜ270°回るのか
グルっと一回転しているように見えるフクロウの首ですが、厳密には彼らの首の可動範囲は右左それぞれに270°だとされています。
そのため彼らは首を傾げるだけでなく、頭を上下逆さまにしたり、体は正面を向いたまま、真後ろを見ることさえできるのです。
人間の首は右にも左にもそれぞれ約60°しか旋回しないことを考えると、フクロウの首と人間の首は大きく異なっていることが分かりますね。
では、どうしてフクロウの首は270°回るのでしょうか。
その秘密は、フクロウの頸椎(けいつい)にあります。
頸椎とは、首の骨のことであり、人間の場合、7つの骨とその間にある6つの椎間板で構成されています。
頸椎が複数の骨から成り立っているので、人は首と頭を上下に曲げたり、左右に旋回したりできます。
また頸椎は頭部を支えたり、重要な神経や血管を保護したりする役割も担っています。
鳥の骨格は体全体的に固定的でしなやかさに欠けるが、頸椎(首の骨)は多いため、首の柔軟性は高い。それがよく出てるのはフクロウだろう。
首は左右どちらか270度回せる(人間は90度)。左回りマックスから右回りマックスまで首を回すとなると、実に540度。1回転半も首を回すことになる pic.twitter.com/e9qrmtXBKj— 川崎悟司 (@satoshikawasaki) March 24, 2019
そして、フクロウにおいては、この頸椎の骨が14個あります。
頸椎の数が人間の2倍であり、その分可動域が広く、最大で270度も首を回すことができるのです。
もし人間も頸椎が増えれば、フクロウのように真後ろまで見渡すことができるのかもしれませんね。
【書籍情報】
フクロウは人間の倍の14の頸椎を持っています。
そして柔軟なので後ろまで見渡すことができます。
人間だと首を曲げて後ろを見ることができませんが、頸椎が増えればフクロウのように後ろまで見渡すことができるようになるかもしれません。#骨 #あばら骨 pic.twitter.com/a0O3cslmVM— 「カメの甲羅はあばら骨」公式🦴 (@kame_abara) September 4, 2021
ちなみに、ドイツ・アーヘン工科大学の2017年の研究は、「フクロウの頸椎は機能的に複数の領域に分かれている」と報告しています。
上部の領域は横方向と縦方向の両方の回転機能がありますが、下部の領域では横方向の回転機能だけに制限されています。
こうした領域ごとの役割の違いが、可動域を広くしつつも、安定性を損なわないようにしたり、神経や血管へかかる負担を軽減したりするのに役立っているのです。
では、どうしてフクロウは首を270°も回す必要があるのでしょうか。