フクロウにはなぜ「首に広い可動域」が必要なのか
フクロウが首を270°も回すのには理由があります。
それは狭い視野を補って周囲を見回すためです。
フクロウの目は、他の鳥類とは違い、他の生物を襲って食べる肉食動物のため、正面に両方の目が付いていて対象を立体視できるようになっています。
この立体視は、獲物までの距離を正確に計測するのに役立っており、夜行性のフクロウが夜に獲物を捕らえるために必要です。
またフクロウの視力は人の8~10倍であり、動体視力も優れています。
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/220d2fbb36b9828f92a5226a7582f8c2.jpg)
しかし、このような「前方を正確に見る能力」に特化したフクロウの眼球は「筒状」になっており、頭骨に固定されているため、「球状」の眼球をもつ人間のように自由に動かせません。
実際、フクロウの両眼視野は約70°しかありません。
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/Sources-of-variation-in-bird-eyes-A-Diagrammatic-cross-section-through-the-eye-of-an-353x600.jpg)
つまり眼球が動かない替わりに、その視野の狭さを補うため首が270°も回るようになっているのです。
フクロウは首をぐりんと回すことで、広範囲を遠くまで見通すことができるのです。
またフクロウは左右非対称の耳を使って獲物の位置を把握しています。
実はフクロウは片方の耳がもう片方の耳よりも少し上についており、「音の強さ」「音が届く時間」などの左右差から、音源の位置を正確に知ることができます。
これに加えて、フクロウたちは首を傾けて左右差を作りだし、より正確な音源の位置を知るための調整を行っています。
このようにフクロウは、獲物を狩るために首の可動域が広くなければいけません。
とはいえ、そこまで大きく首を曲げることで、健康上の問題は生じないのでしょうか。
例えば、首の血管がねじれたり詰まったりすることはないのでしょうか。