フクロウが首を傾けたり回転したりしても血管が損傷しない理由
フクロウは、首の可動域が広いだけでなく、ぐりんと素早くねじることができます。
当然、人間では可動域が限られていますが、仮に同じように素早く頭を動かし続けるなら、動脈の内壁が裂けて血栓ができ、脳卒中を引き起こす可能性があります。
場合によっては首の骨が折れることもあるでしょう。
また、そもそも血管がねじれて血流が妨げられる可能性もあります。
しかし「大量のフクロウたちが脳卒中などで森の中に横たわっている」なんてことはありません。
どうしてフクロウでは問題が生じないのでしょうか。
アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学の2013年の研究とイラストでは、その点が解説されています。
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/team30662section2887_dekok_mercado_poster_1348859699900-877x600.jpg)
まず、フクロウの首の骨である頸椎には、人間よりもはるかに大きな穴があります。
通常、頸椎には動脈が通るための穴が開いています。
それがフクロウでは人間の穴の約10倍の大きさであり、この大きな穴により血管の動きに余裕を持たせています。
またフクロウの動脈は頸骨の下部2つを通っておらず、上から12番目の頸骨から始まっています。
これによって首をひねる時に動脈の「たるみ」が生じ、血管が破れないよう助けています。
さらにフクロウの血管は、脳に近づくにつれて拡大(通常は心臓から遠ざかるにつれて血管は細くなる)しており、これが血液の貯水池として機能することも分かっています。
研究者たちは、「フクロウが頭を回転させた際、彼らがこの貯水池を使って脳や目が必要な血液を使えるようにしている」と推測しています。
このように、フクロウの頸椎と血管には、首を270°素早く回しても問題が生じないよう対策が施されています。
可愛らしく首を傾げたり回転させたりするフクロウですが、その動きには彼らが生き抜くための多くの秘密が詰まっているのです。