【悪用厳禁】トランプ流の大衆を魅了する「ジェスチャー術」の研究が発表
【悪用厳禁】トランプ流の大衆を魅了する「ジェスチャー術」の研究が発表 / 論文に使用されている画像/Credit:Christopher Hart . Social Semiotics (2024)
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【悪用厳禁】トランプ流の大衆を魅了する「ジェスチャー術」の研究が発表 (3/3)

2025.02.10 17:00:35 Monday

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悪用禁止のトランプ流心理操作のジェスチャー術

【悪用厳禁】トランプ流の大衆を魅了する「ジェスチャー術」の研究が発表
【悪用厳禁】トランプ流の大衆を魅了する「ジェスチャー術」の研究が発表 / 有効な方法ほど悪用されると被害が甚大になります/Credit:Christopher Hart . Social Semiotics (2024)

ここでは、これまでの話をまとめ、トランプ氏のジェスチャー術を応用するための方法を紹介します。

政治家としてのドナルド・トランプ氏が、敵と味方を明確に分けつつ、熱狂的な支持を獲得してきた背景には、いくつもの戦略があります。

そのうち非言語コミュニケーション、とりわけ「指差し」を軸としたジェスチャー術は、聴衆の感情や認知を強く刺激し、場合によっては“心理操作”とも言えるほどの効果をもたらすものです。

ここでは、そのテクニックを「悪用禁止」を前提に“虎の巻”形式で整理します。

あくまで、この知識は自らの表現力を高めたり、説得スキルを分析したりするための参考としてご活用ください。

①「敵」と「味方」を作り、指先で視覚化する

外向きの指差しで「敵」を示す

相手の名を呼びながら、人差し指を鋭く突き出すように外向きに指差すと、聴衆は瞬時に「敵」を認識します。

メディアや野党、あるいは抽象的な脅威であれ、物理的に示されることで“悪”としてリアルに感じやすくなるのです。

怒りや不安などの負の感情を刺激し、結束を高める手段として効果的ですが、過度に利用すれば社会を分断する危険性があります。

②大きく広げる外向き指差しで「味方」を包み込む

自分が演説台に立ち、左右に大きく腕を振りつつ「あなたたち」「みんな」と呼びかけることで、聴衆は自分たちが“味方陣営”に属していると感じるようになります。

手の動きが大きいほど「大勢を巻き込んでいる」印象を与え、一体感が増幅されます。

これはトランプ氏の得意技の一つですが、使いすぎると“馴れ馴れしさ”を嫌う人々から反発を招く可能性があるので注意が必要です。

③自分を示す内向き指差しで「主役」を印象づける

胸を指して「自分が責任者だ」と強調する

「私はやる」「私だけができる」といった言葉を発する際に、自分の胸や心臓付近を指差す・叩く動作を加えると、説得力と共感度が飛躍的に高まります。

聴衆は話者の“自己確信”や“真摯さ”を強く感じ取り、「この人になら任せてもいいかも」と思いやすくなります。

また一度きりではなく、繰り返し自分を指す・胸を叩く動作を入れると、聴衆の記憶に深く刷り込まれます。

政策や公約など“実現すべき約束”を強調するときに有用ですが、濫用すると「大げさ」「自己陶酔」といった負の印象につながる場合もあるため、バランスが肝要です。

④上向きの“矢印”で抽象的な希望や大きな展望を語る

高い場所を示す仕草で“将来性”を演出

声のトーンを少し上げつつ、指を上向きに伸ばしながら「未来」「成功」「偉大な国を取り戻す」などの言葉を発すると、聴衆はそれを“上昇”や“前進”といったポジティブなイメージと結びつけやすくなります。

頭よりも高い位置に手をかざすことで、発言のスケールや志の高さを強調できます。

抽象的な概念を明確にする“シンボル操作”

「大きな壁」「高いハードル」「天井知らずの成長」などを話題にする際も、視線と指先を上方向へ導く動作が有効です。

言葉だけではイメージしづらい要素を、実際の空間に“映し出す”ことで、聴衆の頭の中でビジョンが具体的に膨らみやすくなります。

⑤下向きの“矢印”で現実の場や仲間意識を固める

足元を指差すことで“ここに私たちがいる”感覚を強調

“この場所”“この国”“ここから始めよう”という文言に合わせて下向きに指差すと、抽象的な話ではなく現実の“いま・ここ”に焦点を合わせます。

聴衆にとっては、自分たちの足元・地元への愛着や結束を感じるトリガーとなるでしょう。

仲間と同じ地面に立つ“共通感覚”を演出

舞台の上と下で距離があっても、指を下に向けつつ「あなたたちと同じ場所に立っている」「私たち一緒に闘うんだ」と語ると、聴衆は“自分とリーダーは同じ地盤の上で繋がっている”という感覚を持ちやすくなります。

これもトランプ氏が好んで用いる手法の一つであり、“一体感”の形成に大きく寄与します。

「悪用禁止」なワケ

以上のようなテクニックは、政治家やプレゼンターにとっては強力な武器となる一方で、強い対立意識や過度な自己賛美など、社会的分断を深めるリスクも伴います。

とりわけ「敵と味方」を明確に描きすぎると、特定の集団への憎悪や偏見が助長される可能性があります。

また、過剰な自己強調は“独裁的”との批判を招きかねません。

さらに、上向き・下向きの指差しを巧みに使って大言壮語を繰り返せば、短期的には熱狂を得られても、長期的には失望や不信感を招く恐れがあります。

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