ヨーロッパでの復活劇!絶滅寸前だったオオカミが10年間で58%増える

21世紀の今日に至っても、世界中で大型肉食動物の数は減少の一途をたどっています。
生息地の消失、密猟、そして人間との対立がその背景にあります。
ヨーロッパにおいてもかつて、ハイイロオオカミ(Canis lupus)はそうした圧力のなかで姿を消しつつありました。
20世紀には多くの国でオオカミは害獣として扱われ、狩猟や駆除が合法的に行われました。
また都市化や農地開発によって、広範な生息域が失われ、オオカミは山岳部など限られた場所に押し込められていったのです。
では都市化が一層進んだ現在、オオカミたちの数はさらに減少しているのでしょうか。
スウェーデン農業大学の研究チームは、オオカミの現状を正確に把握するため、ヨーロッパ34か国でのモニタリングデータと専門家の知見をもとに個体数と分布状況を分析しました。

その結果、2022年時点でヨーロッパには少なくとも2万1500頭のオオカミが生息していることが判明しました。
これは2012年時点の推定値1万2000頭と比べて、約58%の増加に相当します。
分析対象となったほとんどの国でオオカミの個体数は増加しており、過去10年間で減少が確認されたのはたったの3カ国のみでした。
オオカミは現在、ドイツやフランス、スペイン、ポーランド、イタリアなど広い地域に定着しており、特にドイツでは2000年に1群れしかいなかったオオカミが、2022年には184群れと47のつがいにまで増えています。
このように、ヨーロッパの大地にかつて消えかけた捕食者が戻ってきたのです。
ではなぜ、これほどまでの復活が生じたのでしょうか。