空間は時間からうまれる副産物かもしれない:量子測定が明かす衝撃の宇宙像
空間は時間からうまれる副産物かもしれない:量子測定が明かす衝撃の宇宙像 / Credit:Canva
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空間は時間からうまれる副産物かもしれない:量子測定が明かす衝撃の宇宙像 (4/4)

2025.04.09 17:01:31 Wednesday

前ページ時間測定が空間を創る? 実験で見えた三次元の正体

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まとめ:時間先行・空間後付けの衝撃:常識を覆す新しい世界観

空間は時間からうまれる副産物かもしれない:量子測定が明かす衝撃の宇宙像
空間は時間からうまれる副産物かもしれない:量子測定が明かす衝撃の宇宙像 / Credit:Canva

私たちが普段「ここに物体がある」「あそこまで歩くのに何メートルかかる」などと当たり前に使っている「空間」という概念。

実はこれが、“最初から”存在しているわけではなく、「時間的な観測の連続性」から結果として生まれているかもしれない――それを示唆するのが、本研究の最大のポイントです。

たとえば、私たちは「時間」と聞くと、「時計が秒針を刻んでいる」「過去から未来へ流れ続ける何か」とイメージします。

一方で「空間」といえば、「部屋の広さ」や「宇宙のどこかにある星」のように、何かを『配置する舞台』として思い浮かべるでしょう。

ところが本研究では、この“舞台”であるはずの空間が、むしろ「時間軸に沿った量子ビットの測定相関」を積み重ねることで、あとから“浮かび上がってくる”というアイデアを提示しているのです。

この結果は、直感に大きく反します。

なぜなら、私たちは普通「空間に量子ビットを置いて、それを測定する」と考えるからです。しかし本研究は

「空間は最初からないかもしれない。あるのは“時間ごとの測定”という行為だけ。それを積み上げて解析すれば、結果的に空間の幾何学がそこから復元される」

という見通しを打ち出しています。

それはまるで、“真っ暗な部屋の中”でいろんなタイミングで手を伸ばして壁を探っているうちに、「あ、壁はこういう形をしていて、天井はこの高さなんだな」と分かってくるようなイメージです。

はじめから照明がついている(=空間が与えられている)のではなく、暗闇で手探りしながら時間的に蓄積した情報から、部屋の三次元構造が明らかになるのと似ています。

ただ「重力やエネルギー分布を考慮しなくてはならない現実の宇宙」にもこれがそのまま適用できるかどうか、まだ不透明な部分が多いのも事実です。

微視的な量子ビットで観測された結果を宇宙全体に適応させるには、多くの手続きが必要です。

加えて私たちの世界は、アインシュタインの相対性理論によって、時間と空間を不可分のものとして扱う「時空」のイメージが強固に根付いています。

したがって、「時間先行・空間後付け」という発想を本当に宇宙全体の理論にまで発展させられるかどうかは、今後の研究次第と言えるでしょう。

それでもこの研究が興味深いのは、「量子ビットの初期状態を知らない状態からスタートしても、連続的な測定結果の相関を見るだけで三次元空間の骨格が再構築できてしまう」という点にあります。

観測者が「どんな空間で実験しているか」知らなくても、“測定の連鎖”が積もり積もって空間的な情報を引き出せるのです。

これは単に量子情報や基礎物理の話にとどまらず、“認識論”や“情報理論”の面でも大きなインパクトをもたらします。

このアイデアを発展させれば「そもそも時空とは何か」「空間と時間はなぜ融合しているのか」という、根源的な疑問への一筋の光が射すかもしれません。

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空間は時間からうまれる副産物かもしれない:量子測定が明かす衝撃の宇宙像 (4/4)のコメント

ゲスト

もつれた量子が3次元的に離れて存在できるのがずっと不思議だったけど、この辺に起因してるのかもしれないな
あれは本来オセロの石の表裏みたくピッタリくっついた存在で、離れられないものに違いなさそうなんだが、
仮に空間が副次的なものに過ぎないとなると話は変わってくると言うか、
実は極小の一定半径内?を回転しているだけの二極が、たまたま接触している空間上の投影地点がその2点なのかもしれない

ただ概念的な主従が変わったとして相関関係は変わらないので、意味合い以外の影響はそうなさそうにも思うが、
仮に、存在がばらついてるのは量子じゃなくて空間の拡張現象の方とかいう話になってくると、また新たな展開が出てきそう

    ゲスト

    量子もつれなんて、なにか根本的な間違いでもあるんだろうって想像してましたが、この辺に起因してるのではって言われると、ハッとしてしまいました。

    副次的に空間があるだけなら矛盾しないかもしれない!

ゲスト

偉い人解説お願いします😭

    ゲスト

    連続的な観測によって無から部屋を作っているのが世界の正体みたいな話らしいと理解したけど、既にある部屋をただ観測してるだけなのでは?
    頭のいい人達の考えだからそんな単純な話ではないと思うけど

ゲスト

ホログラフィック宇宙論と似てるような

    かいちょう

    なるほど!

ゲスド

星図を作成するという行為は、天体を観測することによって元々あった状態の空間を構築していく訳ですから、わりと当たり前のような気もしますね。
しかし、観測によって振る舞いが変わるというのがこの天体観測でも起きているなら、観測した天体を調べて観測の方向などを割り出せることがもしできるようになれば、我々以外の知的生命体の有無の調査にも応用できそうですね。

ゲスト

宇宙の膨張も量子の状態変化の産物って事か?

ゲスト

単に時間を基準に空間情報も記述出来るというだけの事にも思えますが。

ロゥレベル・バーチャルマキナ

時間をおいた測定に「内積と同じ構造が出る」みたいなことが書いてあるね。内積っていうのはある二本のベクトルがどれくらい近いのかを計算するための方法で、平行なら最大値、直交なら最小値になる。

だから内積の構造が出てくるというのは、1回目と2回目の測定の間に、量子ビットの位相差はそんなに大きく変わらない、つまり測定の間隔を縮めるほど2回の結果は同じ方向を向きがちだし、測定の間隔を長くするほど別々になりがちだ、ということを言ってるように素人目には見える。

それのなにが3次元なの?というのはよく分かんないけどね。

でもね、測定をしなかったら量子ビットはシュレディンガー方程式に従うのだから一定速度で上下左右に回転する。だから?だから、ごく短い間に2回測定したら近いベクトルになるというのはなんだか予想通りではあるんだよね。軸がブレるコマの写真を早い間隔で2回撮ればほぼ同じ写真になるはずだ。

でもだからって間隔を長くするほどばらばらになりはしないと言ってるのかな?だって、ぐるり一週回って同じとこに帰ってくるわけだから、だから2回測定の時間間隔を広げて行ったとしたら、どこかある有限のところで、「もうここまで。これ以上ランダムになりません」という天井が見えてくるはず。

その天井高さはもしも観測をしないのであればたぶん簡単に予想できる。でも観測をする場合、どんなのになるか実はそんなに分かってない。だから今回実験をすると、たしかにそれは、観測をしない系で予想されるような天井とは、数学的に違うものになってそうです、ということなのかな??

まあそれに早い間隔で2回写真を撮ったとき、カメラのフラッシュで量子状態が乱される効果もあるし、それと独立で不確定性関係もあるし、だから書いてあるとおり必ずしも似たベクトルになっているとも限らない。実はそんな精密な計算の仕方は、つまりそういう静的なことも動的なことも抱き合わせでさっぱり求まる理論的なフレームワークはたぶんなくて、案外実験しないと意外とやっぱりわかんないんだろうね。分かんないけどね

ヤレヤレ

まず,量子ビットの多値性をモジュラー束に投影させて扱うモデルにおいて,1次元変数 t のみの情報から,距離や(角度の情報を取り出せるような)内積の情報が取り出せるという事実があったとしても,そのことから「時間が空間を意味出している」とか,「時間が空間の原因になっている」などという結論は導けない.この時点でイイカゲン.

そもそも,量子力学の理論的骨子には線型代数がある.つまり通常の理論展開では舞台は線型空間であることが大前提だ.
プレーンな線型空間の公理だけではそこに内積などはないが,量子力学の数理的公理化をみれば,通常はヒルベルト空間(たまにオーソモジュラー束の理論まで条件を緩める)であり,この記事にあるブロッホ球でさえ,複素空間上の球なのだから内積がある線型空間を「代数化」したものだ.
歴史的には,現代的な線型代数の理論は解析学の文脈で抽象化が進んだが,その公理化された線型空間の概念は「ほぼユークリッド空間」であることが直後に確かめられる.
実際,線型空間の公理に,実数の連続性の諸概念や平行線公理,パッシュの公理などを付け加えればユークリッド幾何学空間になる.

前述したが,量子力学で扱っている線型空間は単なる線型空間よりももっと強い条件が追加されており,標準的な前提ではほぼヒルベルト空間を前提としたモジュラー束の理論であるのだから,扱っている概念が「一見して幾何学的ではないモデル」であってもそこにはユークリッド空間や非ユークリッド空間のような幾何学空間における距離や角度(内積)の概念がすでに入っているのだ.

理論的要請として,量子力学を前提とした「量子的にこうあってほしい」という条件をブロッホ球のモデルに付け加えていけば,それが量子力学を忠実に表現しようとすればするほどに「もともと量子力学に入っていた幾何学的性質」が「代数的に」抽出されるのは「アタリマエ」でしかない.
繰り返しになるが,ブロッホ球の概念そのものがヒルベルト空間を要請しているし,幾何学的前提から出発しない量子力学の諸性質を規定する理論的公理系もそもそもがユークリッド幾何学や非ユークリッド幾何学を充分すぎるほど内包する程度には幾何学的な線型空間論となっている.

    ゲスト

    思った
    現実のいわゆる3次元とその空間違うよねって

維摩居士

色即是空、空即是色、唯心偈
時空を超越した存在こそが真の実相
思えばある、良きも悪しきも思ったとおりになる 

しばわんこ

時間って物事の変化をあらわすもの。
物事の変化は空間のない場所でも起きているだろうから、
空間よりも時間のほうがより高次元な物理量なんだろう。
時間のない無の状態から、高次の物理量である時間が発生する時、
空間と物質が副産物として生成されるのだろうか。

髙原基広

局所性と非局所性の間に時間が有るとして、時間が先か局所性非局所性が先かをシンプルモデルの凹凸が2つしか無い歯車で考察してみよう。この時の一つの歯車に対してもう一つの同じ歯車が噛み合った状態を局所性とする。この時、ドライブ側の歯車は1/2でドリブン側の歯車を1/2回す。この時ドライブ側をA、ドリブン側をBとする。では、AとBの間に数直線直列上に無限の数の歯車を置き、各歯車歯数もバラバラでは有るが噛み合った状態とし、この時を非局所性とする。ではこの時の最初の歯車Aが1回で回った時最後の歯車Bは何回回るかを理解すれば良い。つまり、時間が作り出す空間は、AとBの間の歯車の数や歯車の歯数に相当する。例え無限距離(歯車数)でも、無限解析数(各歯車の歯数)でも、答えは直感的に出る。答えのスピンは1である。つまり回す初期値Aと回される最終値Bが局所と非局所で解ればAとBの間は関係無くエンタングルメント状態を示せる。それが時間(各歯車の歯数)と空間(歯車数)の関係である。

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