負け犬より勝ち馬が怖い:サイコパス男性がエロ画像を送りまくる

本研究では、まず「男性同士の競争」という舞台を設定し、その勝敗がサイコパス的特性を持つ人の性的攻撃性にどのように影響を与えるのかを検証しました。
具体的には、異性愛者の大学生男性298名を募集し、最終的には139名のデータを分析対象としています。
参加者は事前にサイコパス傾向を測定する質問票に回答し、「対人操作や感情の希薄さ(interpersonal-affective traits)」と、「衝動性や反社会的行動(impulsive-antisocial traits)」という二つの次元を評価されました。
たとえるならば、前者は“冷徹かつ巧みに相手を操る”性格傾向、後者は“衝動的にルール違反を繰り返す”性格傾向とイメージするとわかりやすいでしょう。
続いて研究チームは、参加者たちに認知課題を行わせ、「君は勝った」「君は負けた」と知らせる実験操作をしました。
実際には研究者が勝敗をコントロールしており、当人には真剣勝負のように感じられます。
次のステップとして、録画映像で登場する女性との“メディア共有タスク”を用意しました。
この女性は“性的な映像が苦手”と明言しているにもかかわらず、参加者は「性的に露骨な映像」「ロマンチックだが露骨ではない映像」「ニュートラルな映像」の三種類から、どれをどれだけ見せるか自由に選べます。
研究者は、相手が嫌がるとわかっている性的映像をどのくらい長く再生させるかによって、“性的攻撃行動”を測定したのです。
結果は意外なものでした。
まず、「負けたからこそ攻撃的になる」というパターンはほとんど見られず、むしろ「勝利した」男性のほうが好まない映像を長く送る傾向が強かったのです。
さらに注目すべきは、サイコパス的特性のうち「対人操作や感情の希薄さ」が高い人ほど、その傾向が顕著だった点です。
勝ったことで高まる“支配欲”が、相手の気持ちを無視してでも自分の欲求を貫こうとする行動につながったと考えられます。
一方、「衝動性や反社会的行動」が高い人は、勝敗で行動が大きく変わるわけではありませんでした。
つまり、“衝動的に違反行為をする”タイプよりも、“冷酷に相手をコントロールする”タイプのほうが、勝った瞬間に性的攻撃行動へシフトしやすいという構図が浮かび上がってきたのです。
言い換えれば、“勝利”による優越感が、もともと持っている“冷淡さ”を加速させるリスクを示唆しているといえるでしょう。