梅毒の治療のために燻蒸ストーブを用いて水銀を取り込もうとしている男性、水銀は梅毒の治療薬として考えられていた
梅毒の治療のために燻蒸ストーブを用いて水銀を取り込もうとしている男性、水銀は梅毒の治療薬として考えられていた / credit:wikimedia Commons
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今の猛毒はかつての万能薬!世にも奇妙な昔の医療について (2/3)

2025.04.20 21:00:31 Sunday

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万能薬として考えられていた金

金を万能薬として捉える医師も多かった
金を万能薬として捉える医師も多かった / credit:pixabay

また中世以前の各文明において、金はその希少性と輝かしい美しさから、ただの装飾品に留まらず、医療や錬金術の領域でも至高の薬として扱われていました

とりわけ中国において金の可能性について注目されており、錬丹術師が「錬丹術師は金を食べて長生きしている」と書き残したりしています。

また中国の薬学の百科事典的存在である「本草綱目」に「水に金を入れて煮込んで黄金水を作り、それでうがいをすれば歯の痛みが無くなる」と記されていたのです。

中世に入るとヨーロッパでも金の薬としての可能性を希求する動きが生まれ、塩化金(王水で金を溶かすと生まれる物資)を水に溶かして飲む人もいました

また先述したパラケルススは「飲用金は万能薬である」と主張して宣伝して回っていたのです。

特に、病苦に悩む貴族層の間では、金製の調剤や、金箔を施した薬剤が贅沢な治療法として好まれたのです。

しかしながら、金そのものの生理活性は極めて限定的であったことが後の科学的検証で明らかとなり、その薬効はむしろ象徴的な意味合いに留まると判断されるようになりました。

現在でも一部の店舗ではソフトクリームや寿司に金箔をかけて提供しており、金を食べること自体は行われています。

しかしこれはあくまでゴージャスさを演出するためであり、決して万能薬として摂取されているわけではありません。

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